働き方改革について、あなたの会社は何を変革しますか?

From 小松 望
サンパウロのオフィスより

昨今、人口減少への危機感から「一億総活躍社会」の実現に向けて、政府は企業に対して多様な働き方に向けた改革を求めています。過労自殺問題が会社トップの首が飛ぶまでの社会的問題となり、長時間残業の問題を始めとして様々な働き方改革への取り組みに注目が集まっています。

また、サラリーマンにも副業を認める会社も増えている。
先日のニュースには総合商社の丸紅が新しいビジネスを検討するために「勤務時間の15%、1日単位で取得する場合、就業時間7時間のうち60分をあてる。月単位での場合は、15%分にあたる3日前後をまとめて取得できる」というように変わってきています。

「働き方改革」とは、何を改革するのか?

今年の新入社員のテレビを見ていると、仕事とプライベートの区別をはっきりして、自分の時間を楽しみたいというコメントを多く流していたのに違和感を覚えました。
何事もそうですが、仕事をした時間でプロかアマチュアかは決められない時代です。
給料を稼ぐということは、プロという考えで、早く一人前になるためには、ある程度集中して仕事を覚えるという期間が必要だと思う。その上で、仕事を効率化し、アウトプットの価値を上げる努力をすることが大切だと思う。
仕事の流れ、前工程や後工程がしっかりわからないで、この業務は、必要ないとか、必要だと考えるのは早計ではないだろうか?私が海外にでて、それを一番に感じるのが日本料理の店に行ったときに、せっかく日本人から学んだ、日本料理を、自分たちの考えて、プロセスを省き、料理が台無しになっていることがある。面倒くさいからと言って、手を抜くと味にすぐでてくるのが料理の難しさです。
また逆に、いらない仕事も、一度始めると、やめることが難しい性質を持っています。特に会議は、始めるのは簡単だけど、廃止は何となく人情がからんでくるので難しい。「あの会議を始めたのは部長だからなあ。やめようとは言えない」という事情はよくあります。同じく、プロジェクトも、始めるのは簡単だけど、なかなか「断捨離」が難しい。

さらに、製造業の工場や仕事の現場では、これまで以上に人手不足が深刻なため、ますます働き方やその環境の改革が求められています。

なぜ日本の生産性が極端に低いのか

毎日必死になって粉骨砕身頑張っているのに、生産性が低いなんて、言っている意味がわからないと怒るかたも多いでしょう。しかし欧米での勤務の経験から、ほとんどの従業員が定時で帰宅している。海外拠点で毎日遅くまで残業しているのは日本人出向社員ばかりで、責任をもって仕事を一生懸命やっているのに、残業時間が長いから頑張っているということにはならないのです。ある意味、残業してまでこなせないほど仕事のやり方が悪いという見方もあるわけです。あくまでアウトプットの質と量が全てです。同じアウトプットであれば残業しないほうが働きが良いのは、当たり前の考えです。

データで見てみると労働生産性は一人あたりの付加価値額を表します。付加価値額は、事業を通じて生み出した利益に人件費と不動産賃貸を足したもので、だいたい粗利額に近いものと考えても良いかと思います。
2014年のOECD加盟34か国の労働生産性に関するデータをみると日本の生産性は一人当たり$72,994で、一時間あたりでは$41.3(約4,349円)と高いように見えますが、なんとOECD34か国中では21位つまり下から3分の1のところで、しかもG7先進7か国中ではずっと最下位なのです。多くの日本企業は心身を擦り減らして朝から晩遅くまで働いていても、一人あたりが創出する付加価値は先進国の最下位という事実をを受け止めないと時間だけを削減しても生産性はあがりません。

アメリカの経営学者、チェスター・バーナードは言っているように、「組織の成立要因とは、目的、協働意志、そしてコミュニケーション」が重要です。そもそも組織として何を目指すのか、組織の構成員と一緒になってその目的の実現のために頑張ろうと思えるか。そして、その実現に向けての構成員同士でのコミュニケーションができるか、これがうまく重なり組織は成り立ち、存続し、成長していく。

そのためには、
1)IoT技術やAIを活用した業務の見直し
2)副業、兼業を可能とした働き方の改善
3)労働人口の増加(移民の受入れ)

「工場や現場の働き方改革」の必要性とその手法や効果について考えてみましょう。

1)IoT技術やAIを活用した業務の見直し

IoT技術やAIを活用した業務の見直しは、すでに土木・建設の分野では、ドローンやロボット導入による生産性向上が始まっており、工場もIoT技術やAI、RFタグの活用で工場や倉庫の効率化をはかり省力化を実現しています。

2)副業、兼業を可能とした働き方の改革

大手商社の丸紅が社内副業を義務付けるというニュースが関心を集めています。勤務時間の15%を、新しい事業の考案などに使うような仕組みを始めるそうです。正規の方針なので、人事考課にも反映されるのでしょう。私はとてもよい流れだと思います。
まだ社内制度として整備されていない会社のほうが多いと思いますが、もしこのような「副業」が認められているなら、セカンドキャリアのための「予習」として活用することをお勧めします。「いや、うちはまだだよ」という場合も、思考レッスンとして参考にすべきだと思います。
会社のお墨付きで新規事業の「レッスン」ができるのであれば、何を置いても人生の貴重な時間を有効活用できるメリットがあります。これを活用しない手はありません。

3)労働人口の増加(移民の受入れ)
日本政府はこれまでの「高度人材+技能実習生」制度から、外国人短期労働プログラム方式になり、移民が推進していくと思います。

ブラジルでは、日系移民の子孫が日本で出稼ぎ人材として活躍
70年代からブラジルは石油ショック、ハイパーインフレ、失業率増加などで不況にあがいていた。
80年代から右肩上がりの経済成長を続いて労働者不足に陥っていたが、ビザ獲得に問題のないブラジルへ移住した日本人に目を付けて1985年ごろから出稼ぎが始まり、賃金格差が非常に大きく瞬く間に出稼ぎブームとなり、二世が観光ビザで渡航して不法滞在が増加した。
1990年に入管法で日本政府は三世まで対して特別な長期滞在ビザを発給、日本の査証には外交、公用、就業、一般、短期滞在、通過、特定査証の7種類、パーマネントビザには27種類がある。
2011年3月の東日本大震災では、パーマネントビザを持っていたブラジル人もブラジルに帰国しビザが失効してしまった人も多い。
しかし、2017年3月31日に公表された法務省の在留外国人統計によれば、2016年の在日ブラジル人数が、08年のリーマン・ショック以降、初めて増加に転じたことが分かった。2016年12月末時点で18万0923人と久々に18万の大台を超えた。8年ぶりに訪日就労者が増加傾向に転じたことが、統計で裏付けられた。不況下にあるブラジルから、東京五輪景気で求人増の日本へと向かう流れがある。
また、法務省は一定の要件を満たす海外在住の日系4世の若者が、日本で就労できる新たな在留制度を導入する方針を固めた。日本国内の親族らが入管手続きや語学教育などの手助けに関わる仕組みで、日系人の多いブラジルやペルーなどから年間数千人程度の受け入れを見込んでいる。

労働人材の確保は経営リソースの問題ですので、直接、コンサルを受けたい方は、どうぞお問い合わせからご相談ください。


是非、感想を聞かせてくださいね。

あなたが必要とする情報を
今後も提供して行きたいと
思いますので。

ご感想はこちらからお願いします。