2024年問題の「その後」― 建設業の働き方改革は進んだのか
2024年4月、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。しかし、多くの中小建設会社では「制度は知っているが、現場が変わらない」という声が聞かれます。働き方改革を実現するには、制度対応だけでなく、DXによる業務プロセスの根本的な変革が不可欠です。
建設業の労働環境の現状
| 指標 | 建設業 | 全産業平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 年間総労働時間 | 1,978時間 | 1,633時間 | +345時間 |
| 年間出勤日数 | 244日 | 222日 | +22日 |
| 週休2日制導入率 | 約30% | 約85% | -55pt |
| 年次有給休暇取得率 | 約50% | 約62% | -12pt |
| 月間時間外労働 | 約30時間 | 約15時間 | +15時間 |
働き方改革×DXの3つの柱
柱①:勤怠管理のデジタル化
建設業の勤怠管理は、現場ごとに異なる勤務形態、直行直帰、天候による作業中断など、複雑な要素が絡み合います。紙の出面表やExcel管理では限界があり、クラウド型勤怠管理システムの導入が急務です。
建設業向け勤怠管理ツール比較
| ツール名 | 月額 | GPS打刻 | 工事別集計 | 建設業特化 |
|---|---|---|---|---|
| KING OF TIME | 300円/人 | ○ | △ | △ |
| ジョブカン | 200円/人〜 | ○ | △ | △ |
| ANDPAD勤怠 | 要問合せ | ○ | ○ | ○ |
| ガルフCSM | 要問合せ | ○ | ○ | ○ |
導入効果:勤怠集計作業が月20時間→2時間に短縮(約90%削減)。リアルタイムで残業時間を把握でき、上限規制への対応が容易になります。
柱②:ペーパーレス化の推進
建設業は日報、写真台帳、施工計画書、安全書類、品質管理記録など、膨大な書類が発生する業界です。ペーパーレス化により、書類作成・管理の工数を大幅に削減できます。
ペーパーレス化の対象と効果
| 書類 | 従来の作業時間 | デジタル化後 | 削減率 |
|---|---|---|---|
| 日報作成 | 30分/日 | 5分/日 | 83% |
| 写真台帳作成 | 2時間/週 | 20分/週 | 83% |
| 安全書類(グリーンファイル) | 3時間/件 | 30分/件 | 83% |
| 見積書作成 | 4時間/件 | 1時間/件 | 75% |
| 月次報告書 | 8時間/月 | 1時間/月 | 88% |
年間に換算すると、現場監督1人あたり約500時間(約62.5日分)の工数を削減できる計算です。この時間を本来の施工管理業務に充てることで、品質向上と残業削減を同時に実現できます。
柱③:工期短縮を実現するDXツール
工期の短縮は、働き方改革と収益改善の両方に直結します。DXツールの活用により、工程の無駄を排除し、効率的な施工を実現します。
| DXツール | 工期短縮効果 | 活用シーン |
|---|---|---|
| BIM/CIM | 設計変更対応が50%短縮 | 干渉チェック・施工シミュレーション |
| ドローン測量 | 測量工数が1/3に | 現況測量・出来形管理 |
| 施工管理アプリ | 情報共有の即時化 | 進捗管理・写真管理・指示連絡 |
| AI工程管理 | 最適工程の自動算出 | 資源配分の最適化 |
| 遠隔臨場 | 移動時間ゼロ | 検査・立会い・監督業務 |
働き方改革を実現する導入ロードマップ
| フェーズ | 期間 | 取組内容 | 投資目安 |
|---|---|---|---|
| Phase 1:現状把握 | 1ヶ月 | 労働時間の実態調査・課題の洗い出し | 0円 |
| Phase 2:基盤整備 | 2〜3ヶ月 | 勤怠管理システム導入・就業規則改定 | 10〜30万円 |
| Phase 3:業務改革 | 3〜6ヶ月 | 施工管理アプリ・ペーパーレス化導入 | 30〜100万円 |
| Phase 4:高度化 | 6ヶ月〜 | BIM/ドローン・AI活用・遠隔臨場 | 100万円〜 |
補助金を活用してDX投資を軽減する
働き方改革関連のDXツール導入には、複数の補助金が活用可能です。
- IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠):ソフトウェア費用の最大3/4を補助(上限350万円)
- 働き方改革推進支援助成金:勤務間インターバル導入、テレワーク推進等に最大580万円
- 人材確保等支援助成金:雇用管理改善に取り組む中小企業に最大72万円
成功事例:工務店C社の働き方改革
従業員25名の住宅工務店C社では、以下のステップで働き方改革を実現しました。
| 施策 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 月間残業時間(平均) | 45時間 | 18時間(▲60%) |
| 完全週休2日 | 月2回のみ | 完全実施 |
| 有給取得率 | 35% | 72% |
| 離職率 | 18% | 5% |
| 1人あたり売上高 | 2,400万円 | 3,100万円(+29%) |
働き方改革は「コスト」ではなく「投資」です。人材の定着率向上と生産性アップにより、中長期的には収益改善に直結します。
まずは無料経営相談から
「働き方改革とDXを同時に進めたいが、何から手をつければいいかわからない」という建設業経営者の方は、まずは無料経営相談で現状の労働環境を整理し、御社に最適な改革プランを一緒に考えましょう。

