サバイバル思考術

刑務所の中も認知症対策が必要。

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毎日新聞の2015年05月17日の記事より

| 毎日新聞

現在の社会問題となっている認知症の問題ですが、やはり日本全国の刑務所でも高齢化が進んでおり、もし認知症の患者が増えれば、介護の仕事も増えてくることになると思います。そのためには、DSを使って脳トレということを取り入れているとは面白い試みですね。

ゲーム機の簡単な計算問題を素早く解く受刑者=大分市畑中の大分刑務所で、浅川大樹撮影

ゲーム機の簡単な計算問題を素早く解く受刑者=大分市畑中の大分刑務所で、浅川大樹撮影

◇全国刑務所 対策が課題

全国の刑務所で高齢化対策が課題となっている。犯罪白書によると、2013年までの20年で65歳以上の受刑者は5倍近くに増えた。更生だけでなく健康をどう保つかも重要となり、認知症予防などに乗り出す刑務所も出てきている。【浅川大樹、山本太一】

部屋にやって来た66〜76歳の男性受刑者4人を前に、大分刑務所(大分市)で高齢受刑者指導を担当する野尻博文副看守長(47)が声を掛けた。「体調お変わりないですか」

青、赤、黄、黒−−。机の上には、色とりどりの任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」。それぞれの画面には、持ち主を示す顔写真が表示されていた。

大分刑務所では脳を鍛えるゲームソフトを指導に使う。交互に隠される二つの数字の足し算や、正しく硬貨で釣り銭を渡す問題など、出題は単純かつ多彩だ。受刑者が集中して画面を見つめる。

「先生、最高が出ましたよ。(脳年齢)43歳ですよ」。男性受刑者がうれしそうに声を上げた。ゲームの最後には解答者の脳年齢と評価が表示される。男性は画面の文字を見ながらつぶやいた。「『素晴らしい』かあ」

法務省の統計などによると、大分刑務所の60歳以上の受刑者の割合は20.8%(13年末現在)で、全国平均の18.2%を上回る。病棟を担当する男性看守は「入所後に徐々に認知症が進行し、奇声をあげたり、幻覚、幻聴の受刑者もいる」と話す。刑務作業ができず寝たきり状態となるケースも出ている。

こうした状況から、大分刑務所は10年10月から65歳以上対象の高齢受刑者指導を実施している。現在は8人が月2、3回の指導に任意で参加する。社会福祉士らによる講義や健康運動指導士のストレッチ指導など、内容は年度ごとに変更されている。DSを使った脳トレーニングは、指導開始当初から続く唯一のプログラムだ。

「DSの時間が一番楽しいですよ。頭がさびないように回転を良くしたい」。詐欺罪で服役中の60代男性はそう話す。刑期4年目の男性は仮出所を見据えている。

高齢受刑者の中には、出所後に生活がうまくいかず投げやりになって犯罪に走るケースもあるという。野尻副看守長は「DSなどで健康を維持してほしい。出所後も支援組織につなげる必要があり、指導で情報提供したい」と話す。

 ◇65歳以上の受刑者、20年間で5倍

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