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Newspicks認定エキスパートに就任いたしました。                              「DX認定事業者」に認定されました。

生成AIで現場の道具を内製|建設会社が先に決める3つ

生成AIの組織での利用状況。個人で業務利用している63.3%、部署の業務プロセスに組み込まれている11.9%(IPA「DX動向2026」図表3-6)。生成AIで現場の道具を内製するとき建設会社が先に決める3つ
4コマ漫画。1コマ目、現場事務所で若手の技術者がノートパソコンを見せて「AIで集計表、作りました!」。2コマ目、部長が親指を立てて「便利だな。全現場で使おう」。3コマ目、画面のアップ。表計算の表が行でびっしり埋まっている「その中に、作業員名簿が…」。4コマ目、社長と若手が机をはさんで向き合い「止めずに、3つだけ先に決めよう」
こんな場面はありませんか(イメージ)

週明けの工程会議で、若手が「AIで作った」と集計表を出してきたら、何と答えますか。

「便利だ、全現場で使おう」と言いたくなります。けれど、その表を作るときに作業員名簿をそのままAIに貼っていたら、どうでしょう。

止めれば、せっかくの工夫が消えます。任せきれば、何かあったときに、だれが確かめたのかが残りません。

この記事の結論は1つです。社員がAIで道具を作るのは止めずに、入れてよいデータ・確かめる人・始める仕事の3つを、会社が先に決めます。

監修: 代表取締役 佐藤 望(建設業界30年・建設業経理士1級/記事末に経歴)
最終確認日: 2026年11月2日(調査の数字と国の指針は、この日に各省庁とIPAの原文で確かめました)

この記事は、社員50〜300人ほどの建設会社の社長と、DXや総務を受けもつ役員に向けて書いています。元請や一次下請として工事を持ち、情報システムの担当は1〜2人か、総務の兼務という会社です。

現場では、施工管理の技術者が、日報や写真の整理、出来高の集計をExcelで回しています。その中の若手が、生成AIに頼んで、集計表や小さなプログラムを自分で作り始めました。

この記事でいう「内製」は、社員が生成AIを使って、仕事の道具を外に頼まず自分たちで作ることです。

目次

AIを使う会社はふえた。でも使い方は「個人」が中心

情報処理推進機構(IPA)は令和8年7月に「DX動向2026」を出しました。AIを導入・試験利用している会社は58.0%です。生成AIを「導入している」会社は、2024年度の22.6%から2025年度の44.0%へ、ほぼ倍になりました。

ただし、使い方には偏りがあります。生成AIを導入・試験利用・検討している会社で見ると、いちばん多いのは「個人で業務利用している」の63.3%です。部署の仕事の流れに組み込んだ会社は11.9%でした。

IPA「DX動向2026」の生成AIの組織での利用状況を横棒グラフにした図。個人で業務利用している63.3%、個人や部署で試験利用している44.8%、全社的なサービスに組み込まれている18.6%、部署の業務プロセスに組み込まれている11.9%。生成AIを導入している会社は2024年度22.6%から2025年度44.0%へ。建設業は製造業の区分にまとめて集計されており、建設業だけの数字ではない
図1 生成AIの使い方は、まだ個人が中心(IPA「DX動向2026」から当社が作成)

使っている部署も、ITシステム(71.9%)や経営企画(69.0%)が先を行きます。設計や生産管理をふくむ「製造」は35.7%で、現場に近い部署ほど低い結果でした。

この調査は1,799社の回答で、建設業は「製造業」の区分にまとめて集計されています。建設業だけの数字ではありません。

同じ調査で、AIを入れるときの課題の3番目は「利用を管理するルールや基準の作成が難しい」(39.7%)でした。AIを導入・試験利用・検討している会社のうち、方針もルールも定めていない会社が16.7%あります。

国土交通省は「i-Construction 2.0」で、2040年度までに現場の省人化を少なくとも3割と掲げました。個人の工夫を、会社の仕組みにつなげる。それがこの記事のねらいです。

決めること1: AIに入れてよいデータを3段に分ける

たとえば、現場代理人が作業員名簿をAIに貼りつけて「資格の期限を一覧にして」と頼んだとします。手早く片づきますが、ここが事故の起きやすい入口です。

個人情報保護委員会は令和5年6月、生成AIに個人情報を入れるときの注意を出しました。1つめは、入れる個人情報が、もともとの利用目的の範囲内かを確かめることです。

2つめは、AIの会社が、入れたデータを機械学習に使わないかを確かめることです。本人の同意なく入れた個人データが、答えを出す以外の目的で扱われると、法律違反になるおそれがあるためです。

総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」も同じ考えです。AIを使う会社に、個人情報や機密情報を不適切に入れないよう求めています。

そこで、社員が迷わないよう、データを3段に分けて決めておきます。

段 データの例 決まり
入れてよい 公開されている法令、公開の仕様書や基準 会社が認めたAIなら使ってよい
契約と社内規程で確かめてから 自分で書いた手順のメモ、名前の入らない数字の表、社内の工程表、原価の数字、図面(施主との約束の範囲内) 契約と社内規程を確かめ、学習に使わない設定を会社が確かめたAIだけ
入れない 作業員の健康診断の結果、マイナンバー、CCUSの番号、パスワード、秘密を守ると約束した資料や手順 どのAIにも入れない

(表: 個人情報保護委員会の注意喚起とAI事業者ガイドラインをもとに当社が作成。分け方は一例です)

生成AIに入れてよいデータを3段に分けた図。入れてよい: 公開されている法令、公開の仕様書や基準。契約と社内規程で確かめてから: 自分で書いた手順のメモ、名前の入らない数字の表、社内の工程表、原価の数字、図面。学習に使わない設定を会社が確かめた契約のAIに限る。入れない: 作業員の健康診断の結果、マイナンバー、CCUSの番号、パスワード、秘密を守ると約束した資料や手順。迷ったら入れない側に倒す
図2 AIに入れてよいデータの3段(当社が作成)

大切なのは、迷ったら「入れない」側に倒すと先に決めておくことです。決まりがないと、社員は自分で判断するしかありません。

真ん中の段は、個人向けとは別の会社向けの契約が要る場合があります。費用は各社の公式の料金ページで確かめてください。

データの置き場の決め方は、大福帳に学ぶデータの置き方|AIに読ませる前に決める3つで書いています。

名簿や原価をどの段に置くか、自社の線引きに迷うときは、手元の書類を見ながら一緒に分けます。無料経営相談(60分・毎月5社まで)をご利用ください。

決めること2: 作った人と別の1人が確かめる

たとえば、若手が作った出来高の集計表で、ある列だけ計算式がずれていたとします。請求の前に気づかなければ、そのまま会社の数字になります。

作業服の年配の技術者と若手が、ノートパソコンの画面を一緒に見ている(イメージ写真)
作った道具を、別の1人が確かめる(イメージ写真)

生成AIの答えには、まちがいがまじることがあります。AI事業者ガイドラインは、AIを使う会社に、出力の精度とリスクの程度を理解したうえで使うよう求めています。

同じガイドラインは、想定どおりに動いているかを確かめることも求めています。人の判断をはさむことで、予期しない事故を防げる、とも書いています。

そこで、道具を部署で使う前に、作った人と別の1人が、決まった例題で答えを確かめます。例題には、手計算で答えがわかっている先月の数字などを使います。

同じガイドラインは、1つの会社がAIを作る側・配る側・使う側を兼ねることもある、と書いています。区分は、会社や、会社の中の部門ごとに考えます。

部門が配る道具そのものがAIを呼び出すなら、その部門はAIを配る側の役目も持つ、と考えておくのが安全です。AIで作っただけの普通の表やプログラムを配る場合は、これに当たりません。

道具ごとに、作った人・確かめた人・確かめた日・引きつぐ人を1行でのこします。

道具 作った人 確かめた人 確かめた日 引きつぐ人
出来高の集計表 工事部 Aさん 工事部 Bさん 11月4日 工事部 Bさん
写真の仕分け 工事部 Cさん 総務 Dさん 11月5日 工事部 Aさん

(表: 記入の例。名前と日付は架空です)

文章や図を外に出すときは、著作権も確かめます。文化庁のチェックリストは、AIで作ったものを使う前に、既存の作品と似ていないかを確かめる必要があるとしています。知らずに似てしまっても、侵害になることがあるためです。

確かめ役の置き方は、建設現場の二重チェック|中堅が薄い会社で効かせる3つの方法にくわしく書きました。

決めること3: 始める仕事は「社内だけ・やり直せる」から

どの仕事から道具を作らせるか。これを決めずに始めると、いきなり施主に出す書類から作ろうとする人が出てきます。

はじめから全社・全部の仕事に広げず、1つの部署の1つの仕事で試してから広げます。

建設会社なら、社内だけで使い、まちがえてもやり直せる仕事から始めます。「社外に出るか」と「お金や安全にかかわるか」の2つの物差しで、仕事を4つに分けると決めやすくなります。

お金や安全に少しでもかかわる仕事は、「お金や安全にかかわる」の段に入れます。たとえば日報の集計も、原価や安全の記録に使うならこちらです。

社内だけで使う 社外に出る
まちがえてもやり直せる まず始める: 写真の仕分け、日報の集計、会議メモの整理 下書きまで: 施主への報告書や、協力会社への案内の下書き。出す前に人が読む
お金や安全にかかわる 確かめ役をつけてから: 原価や出来高の集計、資格の期限の一覧 当面は作らない: 見積の金額、請求、安全書類の最終判断
AIで道具を作る仕事を、社外に出るかとお金や安全にかかわるかの2つの物差しで4つに分けた図。社内だけでやり直せる仕事はまず始める(写真の仕分け、日報の集計、会議メモの整理)。社外に出るがやり直せる仕事は下書きまで。社内だけでお金や安全にかかわる仕事は確かめ役をつけてから(原価や出来高の集計、資格の期限の一覧)。社外に出てお金や安全にかかわる仕事は当面は作らない(見積の金額、請求、安全書類の最終判断)
図3 どの仕事から始めるか(当社が作成)

社外に出るものは、1文字でも出たら取り消せません。AIで作った道具がするのは下書きまでにして、送るボタンは人が押します。

道具づくりに使うAIの利用規約も、先に読んでおきます。文化庁は、利用規約を確かめ、それに従って使う必要があるとしています。

当社の例: 取引先へのメールは、AIに送らせない

アプリバンクも、記事の下書きや、点検用の小さなプログラムをAIに書かせて、日々の業務を回しています。そこで決めていることは、この記事の3つとほぼ同じです。

取引先へのメールは、AIが送れないよう仕組みで止め、下書きまでにしています。消す前には控えを取ります。社外に出す文章は、書いた者とは別の目を通してから出します。

任せる仕事の分け方は、社員を増やさず回す経営|AIに任せる仕事と社長に残す判断で書きました。AIに渡す権限のしぼり方は、AIエージェントの守り|建設会社が入れて穴を塞ぐ4つにあります。

統合最適化メソッドで見る: 人・DX・収益

アプリバンクの統合最適化メソッドの3つの軸で、することを並べます。

軸 何をするか 効くところ・測るもの
人材育成 道具を作った若手と確かめ役を、部署の「道具係」にする。著作権と個人情報の基本を、全員で学ぶ 道具を作れる人と、確かめられる人の数
DX推進 自作の道具を一覧にし、作った人・確かめた人・入れるデータを1行で持つ 一覧にのっていない道具の数(0をめざす)
収益改善 日報や写真の整理にかかる時間を、道具の前と後でくらべる 1現場あたり月の事務の時間と、請求前に見つけた計算のずれの数

文化庁も、社員が著作権のしくみを理解しているかを確かめておく必要があるとしています。学ぶ費用には、厚生労働省の人材開発支援助成金が使える場合があります。コースや条件は改正が続いているので、公式ページで確かめてください。

道具係が育つと、一覧に正しい値が入ります。一覧がそろえば、効いた道具をほかの現場にも広げられます。3つの軸は、この順でつながります。

よくある質問

Q. 社員が自分で契約したAIを、仕事に使ってもよいですか

公開されている情報(「入れてよい」の段)だけなら認める、と決める会社もあります。社内のメモや数字、図面は、契約と社内規程を確かめたうえで、学習に使わない設定を会社が確かめたAIに限ります。秘密を守ると約束した資料は、その設定でも入れません。

Q. AIで作った道具がまちがった数字を出したら、どうなりますか

AI事業者ガイドラインは、AIを使う会社が、出力のリスクを確かめたうえで使うよう求めています。道具が出した数字も、会社が確かめてから使う前提で考えます。社内での責任の分け方は、弁護士(労務の規程なら社会保険労務士)にご相談ください。

Q. 作業員の名簿をAIで整理してもよいですか

名簿は個人情報です。入れるなら、利用目的の範囲内か、AIの会社が学習に使わないかを確かめるよう、個人情報保護委員会が注意を出しています。健康診断の結果やマイナンバーは、どのAIにも入れないと決めておくと迷いません。

Q. ルールは、どのくらいの分量で作ればよいですか

はじめは紙1枚で十分です。この記事の3つ(入れてよいデータ・確かめる人・始める仕事)を、その順で1枚にまとめ、全員に伝えてください。

まとめ: 明日やる1つ

AIを使う会社はふえましたが、使い方はまだ個人が中心です。社員の工夫を止めずに、入れてよいデータ・確かめる人・始める仕事の3つを、会社が先に決めます。

明日やることは1つです。社内ですでに動いている自作の道具を、作った人・使っている人・入れているデータの3列で一覧にしてください。「入れない」データが入っている道具から、手を打ちます。

一覧の作り方や、ルール1枚のまとめ方を、いっしょにととのえることもできます。アプリバンクの無料経営相談(60分・毎月5社まで)をご利用ください。

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出典一覧(取得日 2026-11-02)

本記事は一般的な情報提供です。個人情報の扱いは個人情報保護委員会の相談窓口か弁護士に、著作権や社内規程の個別の判断は弁護士などの専門家にご確認ください。

監修

佐藤 望

監修:佐藤 望(株式会社アプリバンク 代表取締役)。建設業界30年。大手ゼネコンで国内の大規模プロジェクトを担当し、海外では子会社の立ち上げと経営再建に従事。

保有資格は認定ファシリティマネジャー/日商簿記1級/建設業経理士1級/第一種衛生管理者。日本内部監査協会 会員、東京商工会議所 会員。

株式会社アプリバンクは、経済産業省「DX認定事業者」(DX-2026-06-0021-01)。建設業に特化し、人材育成・DX推進・収益改善を統合した支援(統合最適化メソッド)を提供。お問い合わせは無料経営相談または TEL 03-6826-0180 へ。


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生成AIの組織での利用状況。個人で業務利用している63.3%、部署の業務プロセスに組み込まれている11.9%(IPA「DX動向2026」図表3-6)。生成AIで現場の道具を内製するとき建設会社が先に決める3つ

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