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社員を増やさず回す経営|AIに任せる仕事と社長に残す判断

社員を増やさず回す経営 AIに任せる仕事と社長に残す判断

監修: 代表取締役 佐藤 望(建設業界30年・建設業経理士1級/記事末に経歴)
最終確認日: 2026年10月19日(出典の数字はこの日に原典で確かめました)

目次

結論: 人を増やす前に、「人がやらなくてよい仕事」を外に出す

建設業で働く人は、55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%です。現場で手を動かす技能者は、2010年の331万人から2025年の296万人に減っています(国土交通省「建設業を取り巻く環境について」令和8年4月)。

人を採って増やすことを前提にした経営は、中小の建設会社ほど難しくなっていると当社は見ています。そこで本記事では、社員10〜50人ほどの建設会社が、人を増やす前にAIで仕事を回す形を整理します。

要点は3つです。

  • AIに任せてよいのは「間違えても戻せる仕事」から
  • 社長と責任者に残すのは「戻せない判断」
  • 任せる前に、AIを止める仕組みを先に作る

当社(株式会社アプリバンク)は、この形を自社で先に試し、うまくいかなかった所も含めて手順にしています。

AIに任せられる仕事の一覧は「建設業のAIエージェント|任せられる仕事30選」にまとめています。本記事は、何を人の手元に残し、どう止めるかを扱います。

建設業は、人を増やす前提の経営が難しくなっている

建設業で働く人は55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%。技能者は2010年の331万人から2025年の296万人に減少
図1 建設業は、人を増やす前提が難しい(出典: 国土交通省「建設業を取り巻く環境について」令和8年4月)

働く人の3人に1人以上が55歳以上で、29歳以下は1割ほどです。技能者は、15年でおよそ1割減りました。

人が減ると、困るのは現場だけではありません。見積、書類、請求、協力会社との連絡といった事務も、同じ人数で回すことになります。中小の会社では、社長や工事部長がこの事務を抱えていることが多いと当社は見ています。

人手不足の手当ては「人を探す」より先に「判断する人の手から作業を外す」ほうが早く効く、というのが当社の見方です。社長や責任者の時間が空けば、その時間を受注の判断と、人を育てることに使えます。

中小の建設会社なら: 夜にAIが片づけ、朝は判断だけが残る

中小の建設会社なら、たとえば次の仕事をAIに夜のうちに片づけさせられます。

  • 現場から上がった日報をまとめ、明日の段取りの下書きを作る
  • 見積や請求の数字を、元の資料から転記する
  • 安全書類の不足や期限切れを一覧にする
  • 通帳と請求書を突き合わせ、入金の確認の下準備をする

朝、社長と工事部長・事務の責任者の手元には、「終わったこと」と「判断が要ること」の2つの一覧が届きます。判断が要ることは、YESかNOで答えられる1問にしておきます。選択肢を3つ以上並べると、考える時間が増えるからです。

材料が足りないときは、無理に二択にせず「保留。何を確かめれば決められるか」を書いておきます。

夜はAIが日報のまとめ・見積と請求の転記・安全書類の不足チェック・入金の突き合わせ準備を片づけ、朝に社長と責任者へ「終わったこと」と「判断が要ること」の一覧が届き、日中は人が判断とお客様対応と人の育成を行う流れ
図2 夜にAIが片づけ、朝は判断だけが残る(中小の建設会社での例)

AIに任せる仕事と、人に残す判断

分け方の基準は1つです。その仕事が、間違えたときに元に戻せるかどうかです。

区分 事務の仕事 現場の仕事
AIに任せる(戻せる) 見積・請求の転記、入金の突き合わせの下準備、議事録 日報のまとめ、段取りの下書き、安全書類の不足チェック
人に残す(戻せない) 見積の提出、支払い、取引先へのメール送信 協力会社への発注、人の配置、作業の中止・再開の判断

ただし、戻せる仕事でも、AIのまとめや下書きは、使う前に責任者が確かめます。安全書類の不足チェックや段取りの下書きは、見落としたまま現場で使われると、直すだけでは済まないからです。

戻せないものは、次の3つで見分けます。

  • 社外に出るもの: 1文字でも社外に出たものは、取り消せない
  • お金が動くもの: 支払いや発注は、出したあとに戻すのが難しい
  • 消すもの: 控えが無ければ、社内のデータでも戻らない

任せる前に作る「止める仕組み」3つ

AIに仕事を渡すと、速さの代わりに、間違いも速く出ます。当社が自社で先に入れ、中小の会社にも勧めているのは、次の3つです。

AIに任せる前に作る止める仕組み3つ。送るのは人だけ、2つの目を通るまで出さない、消す前に控えを取り正本は1つに決める
図3 AIに任せる前に作る「止める仕組み」3つ(当社が自社で入れた仕組みをもとに整理)

① 社外へのメールは、AIに送らせない

当社では2026年10月、AIが取引先に照会のメールを送ってしまいました。代表の「問い合わせをお願いしたい」という言葉を、送信の許可と読んだためです。

それ以来、取引先へのメールは、AIは下書きを作るところまでにしました。送信の操作そのものを、仕組みで止めています。言い方をどう変えても、送るボタンを押すのは人です。

建設の言葉で言えば、作業許可の考え方と同じです。許可証が無ければ、どんなに急いでいても着手しません。

② 外に出すものは、2つの目を通るまで出さない

見積書や提案書をAIに下書きさせたら、作った人とは別の人が数字と言葉を確かめてから出します。当社でも、取引先へのメールは、AIの下書きを代表が読んでから送っています。

書いた本人だけで「よし」としないのは、検査と立会いの考え方と同じです。

③ 消す前に控えを取り、正本は1つに決める

ファイルを消すときは、先に控えを取ります。共有の書類は、話題ごとに正本を1つに決め、同じ話題で新しい書類を作りません。直すときは作業中の印を付け、ほかの人やAIが同時に触らないようにします。

当社でも、2つのAIが同じ話題で別々に書類を作り、どちらかが古いまま残ったことがありました。現場で言えば、同じ図面を2人が別々に直さないための、図面の管理と同じです。

社長の仕事を、一緒に仕分けませんか

どの仕事を外に出せて、どれを社長に残すかは、会社ごとに違います。アプリバンクの無料経営相談(60分)では、社長と責任者の1週間の仕事を見ながら、「戻せる仕事」と「戻せない判断」の仕分けを一緒に行います(毎月5社まで)。

建設会社が始める順番

いきなり大きな仕組みを入れる必要はありません。中小の建設会社なら、次の順番で始められます。

建設会社が始める順番4段。社長と責任者の仕事を判断と作業に分ける、送る・払う・消すは人が押すと決める、戻せる作業を1つだけAIに任せる、人を待った回数を毎週数える
図4 建設会社が始める順番は4段(当社が自社で試した順番をもとに整理)
  1. 社長と責任者の1週間の仕事を書き出す。「判断」と「作業」に印を付ける
  2. 任せる前に線を引く。見積の提出、発注、支払い、削除は人が押す。AIは下書きまで。あわせて、AIに渡してよい情報の範囲を決める
  3. 作業のうち、戻せるものから1つだけ渡す。日報のまとめや議事録など、間違えても直せるもの
  4. 「人を待った回数」を毎週数える。確認待ちで止まった件数と日数が減っていれば、効いています

2番の「渡してよい情報」は、使うサービスの規約で、入力した内容を学習に使うか、どこに保存するかを確かめて決めます。お客様の情報や、契約で外に出せない情報は入れない、と先に決めておきます。

下書きを作るだけでも、入れた情報はサービスの側に送られるからです。

4番は、待ちの数だけで判断しないでください。確認を省けば、待ちは減ります。差し戻しややり直しの件数も、あわせて見ます。

当社が自社で試して一番効いたと感じているのは、この4番です。AIを入れても、人の確認待ちが減らなければ、仕事は速くなりません。

人・デジタル・利益をあわせて見る

当社の統合最適化メソッドは、人材育成・DX推進・収益改善を別々にせず、一緒に見る考え方です。この取り組みに当てはめると、次のとおりです。

  • 人材育成: 社長と中堅社員の時間が、事務から「判断」と「若手への指導」に移る
  • DX: 道具を新しく買う前に、今ある道具(メール、表計算、クラウドの会計)にAIをつなぐところから始められる
  • 収益改善: 社長が見積と受注の判断に使える時間が増える。人を1人採る前に、今の人数で回る範囲を確かめられる

3つは同じ準備でつながっています。仕事を「戻せるか」で仕分けることが、人の育て方とデジタルの入れ方の両方の出発点になるからです。

よくある質問

Q. AIに任せると、間違いは起きませんか

起きます。当社でも起きています。だから、戻せる仕事から渡し、戻せない操作は人が押す形にします。間違いがあっても、社外に出る前に止まるようにしておくことが大事です。

Q. 何人くらいの会社から使えますか

人数よりも、「誰が何を判断するか」が決まっているかが先です。決まっていれば、社員が数人でも数十人でも始められます。AIに渡すのは、その判断の前後の作業です。

Q. 何から買えばよいですか

最初は何も買わなくて大丈夫です。まず社長と責任者の1週間を書き出し、戻せる作業を1つ選んでください。道具は、その作業に合わせて選びます。

まとめ

  • 建設業は55歳以上が36.6%。人を増やす前提の経営は難しい
  • AIに任せるのは「戻せる仕事」から。社長と責任者に残すのは「戻せない判断」
  • 任せる前に、止める仕組み(送るのは人/2つの目/消す前に控え)を作る
  • 効いているかは、「人を待った回数」と、やり直しの件数で測る

人を増やす前に、何を外に出せるかを一緒に整理したい方は、無料経営相談(60分)からご相談ください。

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出典一覧(取得日 2026-10-19)

本記事は一般的な情報提供です。当社の運用は2026年10月時点のもので、すべての会社にそのまま当てはまるものではありません。

更新履歴: 2026-10-19 初版

監修

佐藤 望

監修:佐藤 望(株式会社アプリバンク 代表取締役)。建設業界30年。大手ゼネコンで国内の大規模プロジェクトを担当し、海外では子会社の立ち上げと経営再建に従事。

保有資格は認定ファシリティマネジャー/日商簿記1級/建設業経理士1級/第一種衛生管理者。日本内部監査協会 会員、東京商工会議所 会員。

経済産業省「DX認定事業者」(DX-2026-06-0021-01)。建設業に特化し、人材育成・DX推進・収益改善を統合した支援(統合最適化)を提供。お問い合わせは無料経営相談または TEL 03-6826-0180 へ。


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