MENU
Newspicks認定エキスパートに就任いたしました。                              「DX認定事業者」に認定されました。

発注見通しとは|10月の見直しで公共工事の営業を組み直す

発注見通しとは。出られる工事に絞る、工期と入札時期から逆算する、見直しのたびに前の表と比べる、の3手順を示すアイキャッチ

発注見通しとは、国や自治体が「今年度、こういう工事を、いつごろ出す予定です」と前もって示す一覧です。法律で公表が決まっています。

そして毎年10月1日をめどに、見直す決まりになっています。いまは、下期の公共工事の営業を組み直すのにちょうどよい時期です。この記事では、法律の原文を確かめたうえで、発注見通しを営業の地図に変える手順をまとめます。

目次

発注見通しとは — 法律で決まった「工事の予定表」

根拠は、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入札契約適正化法)です。国は4条、自治体は7条で、同じ義務を負っています。

地方公共団体の長は、政令で定めるところにより、毎年度、当該年度の公共工事の発注の見通しに関する事項で政令で定めるものを公表しなければならない。

何を載せるかは、施行令(国は2条、自治体は5条)が決めています。読みやすく分けると、次のとおりです。

決まっていること 施行令の中身
いつ出すか 毎年度4月1日以後、遅滞なく(予算が成立していなければ、成立の日以後)
どの工事か その年度に発注が見込まれる工事。予定価格が400万円をこえないと見込まれるものなどは除く(2025年7月1日から。それまでは250万円)
載せる項目 ①名称・場所・期間・種別・概要 ②入札と契約の方法 ③入札を行う時期(随意契約なら、契約を結ぶ時期)
どう出すか 官報・公報や新聞か、掲示・閲覧。閲覧はインターネットでもよい
いつまで出すか 掲示・閲覧なら、その年度の3月31日まで
見直し 少なくとも毎年度1回、10月1日をめどに見直し、変更があれば公表
入札契約適正化法施行令2条・5条から当社が整理。原文は記事の末尾の出典から確認できます。

つまり、国や自治体が発注する400万円をこえる工事は、原則として入札の前に「名前・場所・時期・入札方式」が示されます。ただし、年度の途中で加わった工事は、次の見直しまで載らないこともあります。

公告を見てから動くのでは、技術者の手当てが間に合わないことがあります。発注見通しは、その前に動くための材料です。

10月1日をめどに見直される — 下期は最新の表を見る

施行令は、見直しの時期を書いています。

少なくとも毎年度一回、十月一日を目途として、第一項の規定により公表した発注の見通しに関する事項を見直し、当該事項に変更がある場合には、変更後の当該事項を公表しなければならない。

「少なくとも1回」なので、もっと多く見直す自治体もあります。2つ例を挙げます。

  • 堺市は、毎年度4月・7月・10月・1月の初めに公表しています。いま出ている表は「令和8年10月1日更新」です
  • 広島県(農林水産局)は、これまで年3回(3月下旬・6月上旬・10月中旬)でした。令和8年2月16日の資料では、令和8年度は試行として、通年分を3月下旬に出すとしています。その後は6月〜11月の毎月上旬に1回ほど、随時公表する予定です

4月の表は、予算が決まった直後の「最初の予定」です。10月の表には、上期の進み具合をふまえて変わった分が入ります。補正予算の分は、成立の時期によっては10月より後の更新で入ることもあります(推定)。

下期の営業は、4月の表ではなく、最新の公表日の表で組みます。施行令は10月1日をめどに見直すよう定めていますが、変更が無ければ新しい表は出ません。毎月更新する発注者もあります。表を開いたら、まず公表日(更新日)を見てください。

発注見通しの1年の流れを示す図。4月1日以後に年度の最初の見通しを公表し、10月1日をめどに見直し、3月31日まで閲覧できる
図1 発注見通しの1年(入札契約適正化法施行令2条・5条から当社が作図)

どこで見るか — 地区ごとにまとめた表がある

発注者は、国・都道府県・市区町村・高速道路会社などに分かれています。1つずつ見て回るのは手間です。そこで、地区ごとに発注見通しをまとめて出す取り組みがあります。

根拠は、公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)7条1項10号です。発注者に、工事の時期をならすための計画的な発注を求めています。

その手立ての1つとして挙げているのが、「他の発注者との連携による中長期的な公共工事等の発注の見通しの作成及び公表」です。

たとえば関東地方整備局のページでは、関東ブロックの発注見通しを都県域ごとに見られます。令和8年度の参画機関は471機関です。

区分 機関の数
国 17
特殊法人等 25
都県 9
政令市 5
区市町村 415
合計 471
関東ブロック発注者協議会「発注見通しの統合」の参画機関(令和8年度)。出典:国土交通省 関東地方整備局

同じページは、ねらいを「受注者による人員配置や建設資機材の手配など、計画的な施工体制の確保に役立つこと」と書いています。営業だけでなく、人と機械の段取りに使う表だということです。

関東のほかにも、同じ取り組みをしている地方があります。たとえば北陸ブロックは、平成28年12月に統合を始めました。令和3年10月時点で、管内の全83機関が参画しています。

まず自社の地方のページを1つ決めて、ブックマークしておくのが近道です。

表の1行から、何を読むか

発注見通しの表は、1件が1行です。項目は発注者ごとに少しちがいますが、法律で決まった項目は共通です。堺市の表には、さらに担当課や入札予定時期なども載っています。

当社は、1行を次のように「営業の問い」に読みかえています(当社の整理です)。

表の項目 営業で自社に問うこと
名称・概要 自社が得意な工種か。似た工事の実績があるか
場所 現場まで通えるか。近くに協力会社がいるか
期間 手持ちの工事と工期が重ならないか(重なるなら兼務の条件を満たせるか)。冬や梅雨にかかっても工程を組めるか
種別 自社の許可と等級で出られる業種か
入札と契約の方法 その方式で参加できるか。総合評価なら、技術提案を準備する時間があるか
入札を行う時期 その時期に、見積もりと書類の手間をかけられるか
項目は入札契約適正化法施行令2条・5条によるもの。右の列は当社の整理です。

6つの問いが全部「はい」なら、取りにいく候補です。「いいえ」が1つでもあれば、今回は見送るか、条件を確かめてから決めます。見送る工事を早く決めるほど、取りにいく工事に手間をかけられます。

総合評価落札方式の工事は、とくに早めの準備が要ります。価格だけでなく、技術提案や施工計画も点数になるからです。堺市では、総合評価落札方式で出す予定の工事を、別の一覧でも示しています(建築都市局の分)。

営業の地図に変える3つの手順

表は見るだけでは仕事になりません。当社は、次の3つの手順で「出る工事」を「取りにいく工事」に変えることをすすめています(当社の整理です)。

発注見通しを建設業の営業に使う3つの手順の図。出られる工事に絞る、工期と入札時期から技術者と下請を逆算する、見直しのたびに前の表と最新の表を比べる
図2 発注見通しを営業の地図に変える3つの手順(当社の整理)

手順1 出られる工事だけに絞る

最初に、自社が出られない工事を外します。見るのは、業種・場所・入札方式・金額の区分です。

たとえば堺市の表は、一般競争入札を金額の区分で示しています。「400万円超3000万円未満」「3000万円以上9000万円未満」などです。

どの金額の工事に出られるかは、多くの発注者で、入札参加資格の等級によって決まります。等級の見方は入札参加資格の記事にまとめています。

出られない工事を何十件ながめても、受注にはつながりません。絞ったあとの件数が、自社の「公共工事の市場」の大きさです。

手順2 工期と入札の時期から、人と下請を逆算する

次に、残った工事を入札の時期でならべます。発注見通しには「期間」と「入札を行う時期」が書いてあります。

ここで見るのは、取れたときに技術者を出せるかです。考える単位は、入札の月ではなく、その工事の工期です。

国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルは、技術者を現場に専任で置く期間を「契約工期が基本となる」としています。契約のあと、現場の施工に入るまでの期間などは、専任を要しないとも書いています。

専任が要る工事か、兼務が認められるかは、請負金額や発注者の条件で変わります。入札の月が同じでも、工期がずれていれば配置できることがあります。入札の月がちがっても、工期が重なれば配置できないことがあります。

見通しの「期間」を、手持ちの工事の工期と並べて見てください。最後は、入札公告に書かれた配置技術者の条件で確かめます。

下請や資材の手配も、同じ表から逆算できます。協力会社に「12月ごろ、この地区でこういう工事が出そうです」と早めに話せば、相手も人を空けやすくなります。

受注を検討するときは、その工期に配置できる技術者がいるかを確かめておく必要があります。

公告が出てから人を探すと、間に合わないことがあります。発注見通しで先の予定をつかみ、技術者の配置予定を早めに検討しておけば、どの工事を狙うかを判断しやすくなります。

手順3 見直しのたびに、増えた工事と消えた工事を比べる

最後に、前の表と、見直したあとの最新の表を見比べます。10月前後の見直しは、その節目のひとつです。新しく入った工事、時期がずれた工事、消えた工事を、それぞれ書き出します。

新しく入った工事は、競争相手もまだ準備ができていないことがあります。時期がずれた工事は、技術者の割り当てをやり直す合図です。表計算に貼りつけて、前回の表と照らし合わせると、差分は数分で出せます。

自社が出られる工事を、発注見通しから絞りこみたい。そうお考えでしたら、無料経営相談からお声がけください。自社の等級と技術者の空きから、どの工事をねらうかをいっしょに見ます。

10月のうちに、社内でやる5つのこと

見直しの表が出たら、社内で次の5つを決めておくと、下期の営業が回りはじめます(当社の整理です)。

  1. 見る表を決める:自社の地方の統合ページと、よく入札する発注者のページを、合わせて3つ以内にしぼります
  2. 見る人を決める:社長か営業の責任者が、自分で見ます。現場の所長にまかせきりにしません
  3. 絞ったあとの件数を記録する:4月・10月など、表が出るたびに件数を残します。市場の大きさの移り変わりがわかります
  4. 技術者の予定表と並べる:見通しの工期と、手持ちの工事で技術者が入っている期間を1枚に並べます。重なりはその場で見えます
  5. 協力会社に先に伝える:取りにいく工事が決まったら、地区と時期だけでも早めに共有します

どれも新しい道具は要りません。表計算と、月に1回30分ほどの時間があれば始められます。大事なのは、表を見る日を決めて、続けることです。

見るときの注意 — あくまで「予定」

発注見通しは、出す時点の予定です。堺市のページは「公表した後に追加、削除又は変更することがあります」と断っています。

  • 載っていても、出ないことがある:予算や用地の都合で、取りやめや時期のずれがおきます
  • 載っていない工事もある:予定価格400万円以下の見込みの工事は、公表の対象外です
  • 最後は公告で確かめる:参加の条件や工期は、入札公告で決まります。見通しは準備のための材料です

そのうえで、予定の段階で動けること自体が、小さな会社の強みになります。社長が自分で表を見て、その日のうちに段取りを決められるからです。

統合最適化でみると

当社は、人材育成・DX推進・収益改善の3つを同時に見ます(統合最適化メソッド)。発注見通しは、この3つを1枚でつなぐ表です。

  • 人材育成:先の工事が見えれば、若手を誰の下につけるか、資格の受験をいつにするかを前もって決められます
  • DX推進:表計算で前回との差分を自動で出すだけでも、見落としが減ります
  • 収益改善:出られない入札に時間を使わず、取れる工事に見積もりの手間を寄せられます

3つはつながっています。先の工事が見えるから、若手の配置と資格の計画が立ちます。差分を表計算で出すから、見落としが減ります。その分の手間を、取れる工事の見積もりに回せます。人の段取りが、そのまま利益の段取りになります。

公共工事の入金の流れは前払金の記事、下期の計画の立て方は下期計画の記事もあわせてどうぞ。

よくある質問

Q1. 発注見通しは、どの発注者でも出していますか。

入札契約適正化法は、国(各省各庁の長)と自治体の長に、毎年度の公表を義務づけています。予定価格が400万円をこえないと見込まれる工事などは除かれます。

Q2. 10月の見直しは、どこでも10月1日に出ますか。

施行令は「10月1日を目途として」「少なくとも毎年度一回」と定めています。日付や回数は発注者ごとにちがいます。広島県(農林水産局)は、令和8年度から6月〜11月の毎月上旬に随時公表する形を試行する、としています。

Q3. 見通しに載った工事は、必ず発注されますか。

いいえ。あくまで予定です。追加・削除・変更がありうると、発注者自身が断っています。参加の可否は入札公告で確かめてください。

Q4. 民間の工事が中心の会社にも関係しますか。

直接は公共工事の話です。ただ、地域で大きな公共工事が重なると、技術者や協力会社の手が足りなくなりやすくなります。民間の工事の工程を組むときにも、地域の公共工事の山を知っておくと役に立つと当社は見ています(推定)。

Q5. 何から始めればよいですか。

自社の地方の「発注見通しの統合」のページを1つ開き、出られる業種と金額の区分だけに絞ってください。その件数を毎回数えるところからで十分です。

まとめ

  • 発注見通しは、国や自治体が発注する400万円をこえる工事の「名前・場所・時期・入札方式」を、入札の前に示す表です。入札契約適正化法で公表が決まっています
  • 少なくとも毎年度1回、10月1日をめどに見直されます。下期の営業は、最新の公表日の表で組みます
  • 地区ごとにまとめた表があります。関東ブロックの参画機関は令和8年度で471機関です
  • 使い方は、①出られる工事に絞る ②工期と入札時期から人と下請を逆算する ③前の表と最新の表を比べるの3つです

公共工事の営業を、人の段取りや利益とあわせて組み直したい。そうお考えでしたら、無料経営相談へどうぞ。人材育成・DX推進・収益改善をまとめて見ます。

この記事は一般的な内容をお伝えするものです。個別の入札への参加や法令の当てはめは、発注者の公告と専門家にご確認ください。

関連記事

出典

出典はいずれも 2026年10月13日時点で公式サイトを確認しています。条文はe-Gov法令API(同日取得)の現行条文です。

監修

佐藤 望

監修:佐藤 望(株式会社アプリバンク 代表取締役)。建設業界30年。大手ゼネコンで国内の大規模プロジェクトを担当し、海外では子会社の立ち上げと経営再建に従事。

保有資格は認定ファシリティマネジャー/日商簿記1級/建設業経理士1級/第一種衛生管理者。日本内部監査協会 会員、東京商工会議所 会員。

経済産業省「DX認定事業者」(DX-2026-06-0021-01)。建設業に特化し、人材育成・DX推進・収益改善を統合した支援(統合最適化)を提供。お問い合わせは無料経営相談または TEL 03-6826-0180 へ。


建設業を支援する経営コンサル、株式会社アプリバンクをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

発注見通しとは。出られる工事に絞る、工期と入札時期から逆算する、見直しのたびに前の表と比べる、の3手順を示すアイキャッチ

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次