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Newspicks認定エキスパートに就任いたしました。                              「DX認定事業者」に認定されました。

建設業の人手不足倒産|受注の上限は、現場に入れられる人数で決まる

目次

仕事がなくて潰れる倒産ではありません

人手不足倒産は、2025年度に441件ありました。前の年度の約1.3倍で、3年つづけて過去最多です。

そのうち建設業は112件で、全体の25.4%を占めます。4件に1件が建設会社です。

ここで見てほしいのは、件数よりも中身です。仕事が無くなって倒れたのではありません。仕事はあるのに、受けられなくなって倒れています。

人手不足倒産の件数(年度)。2023年度313件、2024年度350件、2025年度441件。2025年度のうち建設業は112件で全体の25.4%
人手不足倒産は3年続けて過去最多。2025年度は4件に1件が建設業

帝国データバンクの調査には、宮城県の橋梁工事会社の例が出てきます。2025年9月に破産した会社です。

従業員の退職があいつぎ、「例年通りの工事を受注できない状況」におちいったと書かれています。受注が減ったのではなく、受けられる量が減った。この差が、この記事の出発点です。

この記事では、会社が受けられる工事の量を「供給力」と呼びます。売上の目標ではなく、人と日数から決まる上限のことです。

工事の金額と人の数が、逆向きに動いています

建設投資は、平成22年度の約42兆円を底にふえてきました。令和7年度は約76兆円の見通しです。

いっぽうで、現場で手を動かす技能者は331万人から296万人に減っています。名目の建設投資額は約1.8倍、人の数は約1割減です。どちらも平成22年度と令和7年度に基準をそろえて比べています。

建設投資は平成22年度の約42兆円から令和7年度は約76兆円(見通し・名目)。技能者は331万人から296万人へ約1割減
名目の建設投資額は1.8倍、人の数は約1割減

技能者1人あたりにならすと、建設投資は15年で約2倍になった計算です。ただし、これは価格の上昇も含んだ名目の数字です。工事の「量」が2倍になったわけではありません。

それでも、向きははっきりしています。仕事を取る力より、仕事をこなす力のほうが先に足りなくなっています。

しかも、この差はこれから広がります。建設業で働く人のうち、55歳以上が36.6%、29歳以下は11.9%です。

建設業就業者の年齢構成(令和7年)。55歳以上が36.6%、29歳以下が11.9%
55歳以上は29歳以下の約3倍

いま55歳以上の人は、29歳以下の人の約3倍います。この差を採用だけで埋めようとすると、数が合いません。

2024年4月からは、建設業にも時間外労働の上限規制がかかっています。残業そのものが禁じられたわけではありません。ただ、上限を超える残業で足りない分は、もう埋められません。

受注の上限は、人数と日数の掛け算で決まります

社長が毎月見ている数字は、たいてい受注額と受注残です。どちらも「取れた量」の数字です。

人手不足倒産を防ぐには、もう1本、「出せる量」の数字が要ります。それが供給力です。

受注できる工事量の上限は、現場に出せる人数×1人1日あたりの施工量×動ける日数の掛け算で決まる
供給力は3つの掛け算で決まる

供給力は、3つの掛け算で決まります。現場に出せる人数、1人あたりの施工量、動ける日数です。

人数には、社員だけでなく協力会社から用意できる人も入ります。1人あたりの施工量は、1人が1日に仕上げられる量です。段取りや移動、書類に時間をとられるほど、手を動かせる時間は減ります。すると、この量も小さくなります。

この式で見ると、打ち手が採用だけでないことがわかります。人数が増えなくても、1人あたりの施工量が上がれば、上限はあがります。

倒産の手前で出る、5つの前兆

供給力が足りなくなるとき、最初に出るのは売上の減少ではありません。ここに挙げるのは、よく見られる前兆の一例です。すべての会社がこの順に進むとはかぎりません。

倒産の手前でよく見られる前兆の一例。見積を断る、工期の延長をお願いする、同じ人に残業が集まる、ベテランが辞める、例年の工事が受けられない
「仕事が無い」より先に「受けられない」が来る

まず、見積を断る数がふえます。次に、工期の延長をお願いするようになります。そのしわ寄せが、決まった人の残業に集まります。

そして、その人が辞めます。ベテランが1人抜けると、その人が回していた現場の段取りごと消えます。最後に、例年受けていた工事が受けられなくなります。

帝国データバンクは、退職がきっかけの倒産を「従業員退職型」と呼んでいます。2025年度は118件で、年度で初めて100件を超えました。

前兆は、数字でひろえます。次の5つを、月に1回だけ見てください。

前兆 見る数字 気にする目安(当社の整理)
見積を断る 今月、人が足りずに辞退した見積の数 0件でなくなった月
工期の延長 工期の延長をこちらから頼んだ工事の数 2か月つづけて出た
残業の偏り 残業が多い上位3人の合計が、全体に占める割合 前の四半期より上がった
辞める兆し 話し合いで「きつい」「休めない」が出た人の数 同じ人から2回出た
例年の工事が受けられない 人手が足りずに見送った、例年の工事の数(いつもの協力会社に断られた回数を含む) 1件でも出た月
前兆をひろう5つの数字。目安は当社の考え方で、法令や統計の基準ではありません

どれも、経理の数字には出てきません。現場の責任者に聞けば、すぐに分かる数字です。

自社の前兆がどこまで進んでいるか、ひとりで決めにくい場合は無料相談をご利用ください。上の5つの数字をいっしょにならべるところから始めます。

供給力を守る、3つの方向

打ち手は3つです。人数を減らさない。1人あたりを増やす。受ける仕事を選ぶ。はじめの2つは、式の「人数」と「1人あたりの施工量」です。3つめは、限られた人日をどこに使うか、という話です。式の「動ける日数」は天候や工期で決まり、自社で動かしにくいためです。

供給力を守る3つの方向。人数を減らさない(人材育成)、1人あたりを増やす(DX推進)、受ける仕事を選ぶ(収益改善)
打ち手は3つの方向。統合最適化の3軸に対応する

① 人数を減らさない

採用より先に、辞めない理由をつくります。退職がきっかけの倒産がふえているのは、採れないからではなく、残らないからです。

辞める理由でいちばん手を打ちやすいのは、先が見えないことです。何ができるようになれば、いくら上がるのか。その筋道を等級表にしておきます。考え方は建設業の人事評価制度|CCUSの4レベルを等級表の背骨にするにまとめています。

協力会社も人数のうちです。いつもの協力会社が、他の元請を優先しはじめていないか。支払いの早さや段取りの伝え方で、選ばれる側に回れます。

② 1人あたりの施工量を増やす

職人の手が止まっている時間を減らします。材料待ち、指示待ち、移動、書類です。施工の速さを上げるより、止まる時間をけずるほうが早く効きます。

道具の入れ替えが効くのは、ここです。日報と写真は、スマホから入れて事務所の台帳につなぎます。図面とその日の指示は、クラウドに置いて取りに戻る手間をなくします。出面(でづら)は、その場で入れて集計をやめます。どれも、現場の人が現場にいる時間をふやします。

書類は、現場から外に出せます。安全書類や請求の取りまとめを事務や外部に寄せると、現場の人が現場に戻ります。順番は建設業のBPO|事務を外に出して現場に人を戻す順番であつかっています。

1人が2つの職種を持てると、手待ちが減ります。前の工程が遅れたときに、別の作業に回れるからです。

③ 受ける仕事を選ぶ

供給力に上限がある以上、どの仕事に人を使うかが利益を決めます。見るのは受注額ではなく、1人1日あたりの粗利です。

たとえば、粗利が同じ300万円の工事が2本あるとします。30人日で終わる仕事と、60人日かかる仕事です。1人1日あたりの粗利は10万円と5万円で、倍ちがいます。受けられる量が限られるなら、高いほうを先に入れます。

工期と単価の交渉も、この見方で強くなります。「人が足りないので」ではなく、「この工期だと人日がこれだけ要る」と数字で出せるからです。進め方は建設業の価格転嫁|利益を守る価格交渉5ステップにあります。

断る基準も、先に決めておきます。人が足りないときに毎回なやむと、断れずに受けて、残業が決まった人に集まります。前兆の3つ目です。

社長が毎月見る数字を、1本だけ足す

受注残を、金額ではなく人日で持ちます。そして、向こう3か月に用意できる人日とならべます。

受注残の人日が、用意できる人日を超えている月があれば、それが供給力の不足です。売上の数字がいいときほど、ここを見おとします。

この1本を毎月見ると、3つの方向のどれを動かすかが決められます。用意できる人日が前の月より減っていれば、人数の問題です。人日は変わらないのに受注残がのびていれば、受けすぎです。どちらも動いていないのに工期が遅れるなら、1人あたりの問題です。

人材育成とDXと収益改善は、別々の取り組みではありません。同じ「供給力」という1本の数字を、3方向から押し上げる手段です。当社が統合最適化と呼んでいるのは、この3つを同時に動かすことです。

よくある質問

人手不足倒産とは、どういう倒産ですか

人が足りないことが原因で、事業を続けられなくなった倒産です。帝国データバンクは、やめる人が出たことや、採れないこと、人件費が上がったことなどを原因としてまとめています。

このうち、やめた人がきっかけのものは「従業員退職型」として別に数えられています。

うちは仕事が多いのに、なぜ危ないのですか

仕事が多いほど、少ない人にしわ寄せが集まるからです。こなせる量をこえて受けると、残業がふえ、やめる人が出ます。すると、こなせる量がさらに下がります。

売上がのびている時期ほど、受注残を人日で見ておくことをおすすめします。

採用がうまくいかないときは、何から始めればよいですか

いま働いている人が、やめずにいられるかを先に見ます。1人やめると、その人が回していた段取りごと抜けるからです。

そのうえで、手が止まっている時間を減らします。人をふやさなくても、こなせる量はふやせます。

協力会社に頼っている分は、どう数えればよいですか

いつもの協力会社から、ひと月に何人くらい来てもらえるかを数えます。自社の人数と足したものが、出せる人数です。

協力会社にことわられる回数がふえてきたら、そこも前兆のひとつです。

まとめ

  • 2025年度の人手不足倒産は441件で、建設業は112件。4件に1件です
  • 仕事が無くて倒れるのではなく、仕事を受けられなくなって倒れています
  • 受けられる量(供給力)は、人数・1人あたりの施工量・動ける日数の掛け算で決まります
  • 倒産の手前に出やすい前兆は、見積の辞退・工期の延長・残業の偏り・ベテランの退職・例年の工事が受けられない、の5つです(一例)
  • 打ち手は、人数を減らさない・1人あたりを増やす・受ける仕事を選ぶ、の3つです
  • 毎月、受注残を人日で持ち、用意できる人日とならべてください

受注残を人日に直す作業は、最初の1回がいちばん手がかかります。無料相談では、工事台帳から人日をひろう手順をいっしょに作ります。

あわせて建設業の経営課題2026|7大課題と優先順位の付け方建設業の人手不足|原価を守る経営改善5施策もどうぞ。

出典(2026年9月19日時点)

監修

佐藤 望

監修:佐藤 望(株式会社アプリバンク 代表取締役)。建設業界30年。大手ゼネコンで国内の大規模プロジェクトを担当し、海外では子会社の立ち上げと経営再建に従事。

保有資格は認定ファシリティマネジャー/日商簿記1級/建設業経理士1級/第一種衛生管理者。日本内部監査協会 会員、東京商工会議所 会員。経済産業省「DX認定事業者」(DX-2026-06-0021-01)。

建設業に特化し、人材育成・DX推進・収益改善を統合した支援(統合最適化)を提供。お問い合わせは無料経営相談または TEL 03-6826-0180 へ。

本記事は法令・制度の一般的な内容をお伝えするものです。法令の適用についての個別の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。

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