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育成就労とは|建設業の受入れ8要件と2年の転籍制限

育成就労とは。建設業の受入れは8つの要件で決まることを示した図。2027年4月施行、2年間は転籍できない。

「技能実習が育成就労に変わるらしい」。ここまではご存じだと思います。問題は、その次です。

2027年4月1日から、建設業で外国人を受け入れる会社には、8つの条件が課されます。そのうちのいくつかは、受け入れると決めてから準備したのでは間に合いません。

先に、いちばん大事なところだけ書きます。建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録は、会社も、受け入れる外国人本人も、両方が必要です。これは努力目標ではなく、受入れの条件として国が定めた文書に書かれています。CCUSに登録していない会社は、育成就労で人を入れられません。

もうひとつ、あまり知られていない条件があります。転籍を制限できる期間は分野ごとに1年から2年の範囲で決められていて、建設分野は上限の2年です。ただし、2年に設定した会社には、1年目から2年目にかけて昇給させる義務がつきます。制限と引き換えの条件です。

この記事では、2027年4月に何が変わるのか、会社に何が求められるのかを整理します。もとにしたのは、閣議決定された分野別運用方針の原文です。数字と要件は、すべて出入国在留管理庁と関係省庁が公表している文書で確認しています。

目次

2027年4月1日から。技能実習は育成就労に変わる

育成就労制度の運用開始は、令和9年(2027年)4月1日です。出入国在留管理庁が明記しています。

制度の骨格は、こうです。

  • 期間は原則3年間。この3年で、特定技能1号の水準まで育てることが制度の目的です
  • 外国人ごとに「育成就労計画」を作り、外国人育成就労機構の認定を受けます(期間・目標・内容を記載)
  • 技能実習の「監理団体」は「監理支援機関」になり、許可制になります。許可基準は厳格化され、技能実習の監理団体も、あらためて許可を受けなければ事業を行えません
  • 本人の意向による転籍が、一定の要件の下で認められます

技能実習との最大の違いは、この最後の1点です。技能実習は原則として職場を変えられませんでした。育成就労は、条件を満たせば変えられます。受け入れる側から見れば、「来てもらう」から「選ばれ続ける」に変わったということです。

育成就労から特定技能へ 建設分野の道すじと日本語の水準
育成就労3年 → 特定技能1号5年 → 2号。建設分野は2年で転籍が可能になる

節目ごとに求められる水準は、分野別運用方針に一覧で示されています。受け入れる側が押さえておくのは、この段階です。

節目 技能の水準 日本語の水準
就労開始のとき — A1相当以上、またはA1に相当する講習の受講
1年が経過したとき 育成就労評価試験(初級) A1相当以上
本人の意向で転籍するとき 育成就労評価試験(初級) A2.1相当以上
育成就労の終了時・特定技能1号 特定技能1号評価試験、または育成就労評価試験(専門級) A2.2相当以上
特定技能2号 特定技能2号評価試験 B1相当以上
分野別運用方針「主要な記載事項」より。分野によっては、より高い水準を求める場合があります

入口でつまずかせないのは、いちばん上の行です。試験に受かっていなくても、A1に相当する講習を受けていれば就労を開始できます。ここを知らずに「試験に受かるまで待つ」と考えると、受入れの時期を自分で後ろへずらすことになります。

建設で受け入れる会社に課される8つの条件

建設分野は、他の分野に上乗せの条件があります。閣議決定された分野別運用方針(別紙5)に、育成就労実施者=受け入れる会社に課す条件として、次のとおり定められています。

  1. 建設業法第3条の許可を受けていること
  2. 育成就労計画の申請日前5年以内、または申請日以後に、建設業法に基づく監督処分(同法第29条第1項第5号による処分を除く)を受けていないこと
  3. 同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬を安定的に支払い、就労期間に応じた昇給その他の待遇の向上を行うこと
  4. 会社と、受け入れる外国人の両方を、建設キャリアアップシステムに登録すること
  5. 国土交通省が組織する育成就労の協議会に加入すること。ただし、分野別運用方針 第二2(3)ア1に掲げる団体(その団体を構成する建設業者団体を含む)に所属している場合は、加入しているものとみなされます
  6. 受け入れる外国人の数が、常勤職員の総数を超えないこと(技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除いて数えます。ただし主務省令の基準を満たす「優良な育成就労実施者」はこの限りではありません)
  7. 国土交通省が行う調査・指導に協力すること
  8. そのほか、適正かつ円滑な受入れに必要な対応を行うこと

加えて、2つ。

  • 雇用形態は直接雇用に限られます。派遣は不可です
  • 入国後講習で、労働安全衛生に関する講習を受講させることが、育成就労の内容に対する条件として定められています

この8+2を、2027年4月の時点で満たしている必要があります。「人が足りなくなってから考える」では遅い、というのはここです。

建設業が育成就労で受け入れるための8つの条件
建設分野の育成就労実施者に課される条件。4番と6番でつまずく会社が多い

CCUS登録は「会社も、本人も」。ここでつまずく会社が出ます

4番の条件を、もう一度読んでください。「当該実施者及び受け入れる育成就労外国人を建設キャリアアップシステムに登録すること」。会社の事業者登録と、技能者本人の登録の、両方です。

ここが実務でいちばん重いところです。事業者登録は、申請してすぐ終わるものではありません。建設業許可の情報、社会保険の加入状況、資本金などの登録が必要で、書類の不備があれば差し戻されます。技能者登録のほうも、本人確認書類と顔写真が要ります。

そして、登録して終わりではありません。CCUSは、現場での就業履歴が積み上がってはじめて意味を持つ仕組みです。登録の手順と処遇改善までの流れは、建設業のCCUS活用ガイドにまとめました。カードを配っても、現場にカードリーダーが無ければ履歴は付きません。元請がグリーンサイトなどで施工体制を電子化していれば、その動線に乗せられます。逆に、紙の作業員名簿で回している現場では、履歴が積み上がりません。電子化の起点になる書類は、施工体制台帳の作成義務で整理しています。

つまり、外国人を受け入れる話は、そのまま現場の電子化の話になります。ここを別々の課題として扱っている会社は、2027年に慌てることになります。

自社のCCUS登録がどこまで進んでいるか、就業履歴が実際に付いているかは、30分あれば一緒に確認できます。無料経営相談(毎月5社まで)で、現状の棚おろしからご一緒します。

建設の転籍制限は上限の2年。ただし昇給の義務がつきます

本人の意向による転籍が認められるまでの期間を、転籍制限期間といいます。基本方針には、こう書かれています。

転籍制限期間は、1年とすることを目指しつつも、当分の間、育成就労産業分野ごとに、その業務内容等を踏まえて1年から2年までの範囲内で設定する(基本方針第四2(1)エ)

建設分野は、この上限の2年です。1年の分野もあれば、建設と同じく2年の分野もあります。建設が唯一の例外というわけではありません。

方針には、その理由まで書かれています。

  • 必要な技能の修得に相応の時間を要する
  • 工事の施工期間が1年を超えることもある
  • 都市部と比べて地方部の離職者率が高く、地方部における定着を促す必要がある
  • 他の産業と比べて外国人の労働災害の発生率が高く、労働安全衛生教育に一定の時間をかける必要がある

最後の1つは、受け入れる側が正面から向き合うべき指摘です。「2年は動かせない」という保護は、その2年で安全に働ける状態まで育てることとセットで認められています。

そして、ここからが本題です。1年を超える転籍制限期間を設定した会社には、待遇向上策が義務づけられます。

毎年、建設分野に係る分野別協議会において、建設業の前年の平均賃金の上昇率を基準に、昇給率を設定・公表する。1年を超える転籍制限期間を設定する育成就労実施者においては、在籍する育成就労外国人の所定内賃金を1年目から2年目にかけて、当該昇給率以上の昇給をすることとする。

2年間動かさないなら、その分の昇給を払う。これが制度の設計です。「安い労働力」という発想で受け入れを考えている会社は、この時点で計算が合わなくなります。

賃金の水準も、方針に実数が載っています。令和6年における建設業の生産労働者の平均賃金は年間443万円。年間実労働時間は1,987時間で、前年度から約31時間減っています。同等の日本人と同等以上、が条件です。この水準を前提に、受入れの採算を組んでください。

何人まで受け入れられるか。常勤職員数の壁

6番の条件が、中小企業には効きます。受け入れる外国人の数が、常勤職員の総数を超えないこと。

数え方に注意が必要です。分母となる常勤職員には、技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人は含めません。

そして「常勤職員数まで」は、監理団体を通す監理型で常勤職員が1〜9人の会社に当てはまる数字です。実際の上限は令和8年国土交通省告示第784号第4条が常勤職員の数ごとに定めており、会社の規模が大きくなるほど、常勤職員数より少ない数に抑えられます。

  • 監理型(監理団体を通す)… 常勤1〜9人は常勤職員の総数と同数、10〜30人は9人、31〜40人は12人、41〜50人は15人、51〜100人は18人、101〜200人は30人、201〜300人は45人、301人以上は常勤職員の総数の20分の3
  • 単独型(監理団体を通さない)… 原則として常勤職員の総数の20分の3。その数が3人未満なら0人=小規模な会社は単独型では受け入れられません

「優良な育成就労実施者」になると枠は広がりますが、上限が無くなるわけではありません。単独型は10分の3(3人未満なら0人)、監理型は優良用の別表が適用されます。常勤職員が10人の会社が10人受け入れられる、という読み方はできません。

枠は2年で12万3,500人。早い者勝ちの構造です

建設分野の育成就労外国人の受入れ見込数は、令和9年度からの2年間で12万3,500人。これを令和10年度末までの2年間の受入れの上限として運用すると明記されています。

背景の数字も押さえておいてください。

  • 令和10年度に必要となる建設技能者数は約312万人
  • 一方、同年度の建設技能者数は約276万人まで減少する見込み
  • 差し引き36万人程度が不足
  • 生産性向上で14万9,000人程度を埋め、処遇改善などによる国内人材の確保で1万1,500人程度を埋める
  • それでもなお20万人程度の人手不足が見込まれる

この20万人を、外国人だけで埋める前提には無理があります。国内人材の確保と生産性向上を同時に回す考え方は、建設業の人手不足を経営改善で解決する5つの方法で扱っています。

上限があるということは、埋まれば止まるということです。国土交通大臣は、人手不足の状況が変われば、育成就労認定の停止を求めることができると方針に定められています。「いつか考える」が通用しにくい制度です。

受入れ8要件セルフチェック

いま、自社がどこにいるかを数えてください。2027年4月まで、あと8か月足らずです。

  • □ 建設業法第3条の許可がある
  • □ 過去5年以内に建設業法に基づく監督処分(第29条第1項第5号による処分を除く)を受けていない
  • □ CCUSの事業者登録が済んでいる
  • □ 技能者のCCUS登録と、就業履歴が実際に積み上がっている
  • □ 受入れ団体に所属している、または協議会に加入できる見込みがある
  • □ 日本人と同等以上の報酬を、書面で示せる
  • □ 昇給の仕組みが、就労期間に応じた形で決まっている
  • □ 受け入れたい人数が、告示第784号 第4条の人数枠の範囲内である

多くの会社で空くのは、上から3番目と4番目です。登録はしたが就業履歴が付いていない、という状態がいちばん多くみられます。これは書類ではなく現場の運用の問題なので、直すのに時間がかかります。

逆に言えば、ここが埋まっている会社は先に進んでいます。外国人の受入れだけでなく、経営事項審査の加点でも、元請からの評価でも同じです。同じ準備が、3つのことに効きます。加点そのものの取り方は建退共で経営事項審査15点が分かりやすい例です。

よくあるご質問

Q. いま受け入れている技能実習生は、どうなりますか。

A. 令和9年4月1日に既に来日している技能実習生は、引き続き認定計画に基づいて技能実習を続けられます(同Q&A Q78)。自動的に育成就労へ切り替わるわけではありません。技能実習1号の方は計画の認定を受けて2号へ移行できます。3号への移行は、施行日時点で2号在留の方のうち、令和9年4月1日に2号の活動を1年以上行っていることが必要です。

Q. 帰国した元技能実習生が、また来られますか。

A. 過去に技能実習を行った期間は、育成就労を行った期間とみなされます(同Q&A Q77)。2年以上の技能実習を終えた方が再来日し、技能実習と違う分野で育成就労により働くことは基本的にできません。

Q. 転籍されたら、それまでの育成費用はどうなりますか。

A. 本人の意向による転籍では、転籍先が転籍元に一定以上の金額を支払うことが要件に含まれます(出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」Q55)。金額は、主務大臣が告示で定める額に、転籍元での就労期間に応じた按分率を掛けて算出します。この告示は本記事の執筆時点では未制定です。また建設分野では、2年の転籍制限が認められています。ただし、その2年は昇給とセットです。費用を回収する発想ではなく、2年目に昇給させても成り立つ受注単価になっているかから逆算してください。

Q. 転籍には、外国人側にどんな条件がありますか。

A. 建設分野では、2つの合格が必要です。技能の水準(1年経過時までの水準)と、日本語の「参照枠」A2.1相当以上の両方です。加えて、転籍先が優良な育成就労実施者であることが求められます。誰でもいつでも移れるわけではありません。

Q. 業務区分は何がありますか。

A. 建設分野の業務区分は土木・建築・ライフライン設備の3区分で、特定技能制度と同一です。技能実習の職種のような細かい区分ではなくなっています。

Q. 派遣で受け入れることはできますか。

A. できません。建設分野の育成就労外国人の雇用形態は、直接雇用に限られます。

まとめ

  • 育成就労の運用開始は2027年(令和9年)4月1日。期間は原則3年
  • 建設分野の受入れ企業には8つの条件。建設業許可・監督処分なし・日本人と同等以上の報酬・CCUS登録・協議会加入・常勤職員数の上限・調査協力ほか
  • CCUSは会社と本人の両方の登録が必要。就業履歴が積み上がる運用まで含めて準備する
  • 建設分野の転籍制限期間は2年。ただし1年目から2年目への昇給が義務づけられる
  • 受入れ枠は令和9年度から2年間で12万3,500人が上限
  • 雇用形態は直接雇用のみ。入国後講習で労働安全衛生の講習が必要

制度の説明はここまでです。ここからは、経営の話になります。

外国人を受け入れるかどうかにかかわらず、いずれ避けて通れないものが3つあります。CCUSの登録と就業履歴、日本人と同等以上の賃金、そして昇給の仕組みです。経営事項審査でも、元請の選定でも、同じものが見られています。育成就労は、その準備が整っている会社にだけ開く扉です。

当社は、CCUSの登録と現場の電子化、そこから逆算した受入れの体制づくりを、建設業に絞ってご一緒しています。上のセルフチェックで空いた項目が2つ以上あれば、埋める順番から決めたほうが早いです。どこから手を付けるかだけでも、一度整理しませんか。無料経営相談(毎月5社まで)はこちら。

出典

制度の内容は2026年8月14日時点の公表資料にもとづきます。運用開始前のため、今後の政省令・告示で細部が変わる可能性があります。

本記事は法令・制度の一般的な内容をお伝えするものです。法令の適用についての個別の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。


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育成就労とは。建設業の受入れは8つの要件で決まることを示した図。2027年4月施行、2年間は転籍できない。

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