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工事成績評定とは|65点から、どう上げるか

工事成績評定とは。65点から、どう上げるかを示したアイキャッチ

公共工事を終えると、発注者から点数がつきます。工事成績評定です。

この点数は、その工事だけの話では終わりません。次に出す入札で、参加できるかどうか、評価で上に行けるかどうかに効いてきます。営業の結果が、営業活動ではなく現場のふるまいで決まる、という珍しい部分です。

この記事では、点数がどう計算されるのか、どこで差がつくのかを、国土交通省の様式にあたって整理します。

目次

点数は、65点から始まる

評定点の決まり方。65点から始まり1〜3で加減点、4〜6で加点、7を差し引く
65点が出発点です。7は引かれる側です。

国土交通省の工事成績採点表(別記様式第1)には、計算式がそのまま書かれています。

65点 + 1.〜3.の評定(加減点合計)+ 4.〜6.の評定(加点合計)= 評定点

出発点は65点です。ゼロから積み上げるのではなく、65点から増えたり減ったりする形になっています。

⚠️ この様式は国土交通省の地方整備局が行う土木工事のものです。同じ国土交通省でも、官庁営繕の工事などは別の評定要領によります。都道府県や市区町村も、それぞれの要領を持っています。自治体の工事を受けているなら、その発注者の様式を見てください。考え方は近くても、配点はちがうことがあります。

点数の8割は、1〜3で決まる

ここが、この制度でいちばん誤解されるところです。6つの項目は、重さがまったくちがいます。

採点表には、項目ごとの得点割合が書かれています。100点を分け合う比率です。

項目 得点割合 点の動き
1. 施工体制 7.4% 加減点
2. 施工状況 33.6% 加減点
3. 出来形及び出来ばえ 40.8% 加減点
4. 工事特性 7.3% 加点のみ
5. 創意工夫 5.7% 加点のみ
6. 社会性等 5.2% 加点のみ
7. 法令遵守等 0.0% 減点のみ
国土交通省 別記様式第2(細目別評定点)の得点割合より。直轄工事の数値です。

1〜3を合わせると81.8%。点数の8割は、ふつうの施工管理で決まっています。とくに3の「出来形及び出来ばえ」だけで40.8%あります。

採点表の注記(※4)には、こう書かれています。

4.,5.,6.は加点評価のみとする。また、法令遵守は、減点評価のみとする。

つまり、こういう構図です。

  • 1〜3(81.8%)は、加点も減点もあります。ここをきちんとやることが、点数の土台になります
  • 4〜6(18.2%)は、減点がありません。ただし取りにいかなければ、上乗せの8.8点は入りません
  • 7は、積み上げた点から引かれるだけです

「きちんと作れば点はつく」は、おおむね正しいと言えます。ただしここで言う81.8%と18.2%は、満点をとったときの得点割合(65点の土台を含む)であって、施工で上乗せできる点の配分ではありません。上乗せできる35点で見ると、4〜6(工事特性・創意工夫・社会性等)にあたるのは8.8点で、約25%です。「残りの2割」を上乗せ分の話として読むと、分母を取り違えます。きちんと作るだけでは入らない部分がある、という点が要点です。

素点と、実際に上がる点はちがう

取りにいって増える上乗せ分。1〜3が26.2点、4〜6は合計8.8点
上がり幅で見ると、1〜3が26.2点、4〜6は合わせて8.8点です。

もうひとつ、数字を読むうえで外せない点があります。採点表の点数には、重みがかかります。

評定点計は、評定する人ごとの点数に係数をかけて足す形です。採点表には、次のように書かれています。

既済部分(中間)検査があった場合:(①×0.4+②×0.2+③×0.2+④×0.2)
既済部分(中間)検査がなかった場合:(①×0.4+②×0.2+④×0.4)

①が主任技術評価官、②が総括技術評価官、③④が技術検査官です。

そのうえで、上の得点割合には土台が含まれています。たとえば工事特性の細目別評定点は、様式では(20.0)×0.2+3.3=7.3点と計算されています。この3.3点は、何もしなくても入る土台で、取りにいって増える分は4.0点です。

4〜6を満点まで取ったときに上乗せされるのは、4.0+2.8+2.0=8.8点。いっぽう1〜3で上乗せできる幅は26.2点です。

つまり、上がり幅で見ても1〜3のほうが大きくなります。ただし1〜3は減点もあります。4〜6は減点がない代わりに、取りにいかなければ上乗せはゼロです。守りが先、そのうえで攻める。順番はここです。

4〜6で、何を見られているか

工事成績評定の得点割合。1〜3で81.8%を占める
1〜3で81.8%。4〜6は合わせて18.2%で、取りにいかなければ上乗せの8.8点が入りません。

4. 工事特性(施工条件等への対応)

様式では「施工条件等への対応」という細別で、素点の幅は+20.0 〜 0。細目別評定点は7.3点で、うち土台が3.3点、取りにいって増える分が4.0点です。4〜6のなかでは最も大きい項目になります。

その工事ならではの、むずかしい条件にどう応えたか、が見られます。狭い、近隣が近い、交通量が多い、地中の障害物が出た。そういう条件にどう手を打ったかです。

⚠️ 対応したことは、記録に残しておかないと評定者に伝わりにくくなります。評定者は現場でも確かめますが、確かめられる形で残っていれば、見落とされにくくなります。

5. 創意工夫

素点は+7.0 〜 0、細目別評定点は5.7点(うち上乗せ2.8点)です。会社の工夫や技術が、工事にとって価値があったかを見る項目です。

要領の注記(※3)は、この項目を「創意工夫は、工事特性のような難度を伴わない工事において、企業の工夫やノウハウにより特筆すべき便益があった場合に評価する項目である」と定めています。日常の管理をこなしただけでは入りません。段取りの組み替えや仮設の工夫のうち、特筆すべきものとして説明できるかどうかが分かれめです。

6. 社会性等(地域への貢献等)

素点は+10.0 〜 0で、+7.5/+5.0/+2.5という刻みがあります。細目別評定点は5.2点(うち上乗せ2.0点)です。地域への貢献が見られます。

地域の行事への協力、清掃、災害時の協定にもとづく活動などが例として挙げられます。災害協定を結んでいる会社は、その工事の期間中の活動が対象になるかを確かめておく価値があります。

ただし、何が地域への貢献として評価されるかは、発注者ごとの考査項目別運用表で決まります。工事を受ける前に、その発注者の運用表を確かめてください。

7つめの項目は、引かれる側

採点表には、1〜6のほかに「7. 法令遵守等」があります。これは加点ではありません。

評定点計( 点)- 法令遵守等( 点)= 評定点合計

なお、採点表では各評定点を小数第1位まで記入し、評定点合計は四捨五入して整数にします。本文の小数の上乗せ幅は、そのまま通知される点の増分になるとは限りません。

積み上げた点から、引かれます。法令違反があれば、4〜6でどれだけ取っても、そこから差し引かれる形になります。

攻めの前に、守りが崩れていないこと。順番はここです。

点数は、次の受注に効く

工事成績評定点は、発注者から通知されます。国土交通省 関東地方整備局は、成績評定点通知書を公表しています。

評定の目的そのものが、要領の第1に請負業者の適正な選定に資することと書かれています。効いてくる先は、主に2つです。

  • 総合評価落札方式の評価。価格だけで決めず、企業の施工能力も見る方式で、過去の成績が使われることがあります
  • 入札参加資格の格付け。発注者によっては、等級を決める要素に入ります

つまり、いま施工している工事のふるまいが、来期・再来期の入札での評価に影響することがあります。成績をどこに、どの期間分使うかは、発注者ごとの入札説明書や競争参加資格の審査要領で決まります。営業が動く前に、現場で決まっている部分がある、ということです。

入札に出るまでの手順は入札参加資格とはに、点数の全体像は経営事項審査にまとめています。

自社の成績評定点が、いまどのあたりにあるのか分からない。そうお考えでしたら、無料経営相談でご相談ください。通知書の読み方から、ご一緒します。

点を上げるために、現場でやること

制度がわかったところで、実際にやることは4つに絞れます。

1. 工事のはじめに、4〜6で何を取るか決める

終わってから思い出して書くのでは、材料が足りません。着工時に「この工事では、工事特性のここを取りにいく」と決めておきます。決めておけば、現場もその記録を残します。

2. 創意工夫と社会性等は、こちらから出せる

これは意外と知られていません。地方整備局工事成績評定実施要領の第5には、「創意工夫」「社会性等」について、請負者は当該工事における実施状況を提出できるものとし、提出があった場合はこれも考慮すると書かれています。

評定者が気づくのを待つ必要はありません。やったことを、こちらから出せます。ただし実施要領第5は「提出できる」という任意の定めで、出さなければ一切考慮されない、という条件ではありません。提出は、評定者に見落とされる余地を減らすための手段だとお考えください。

3. 写真と記録を、評価の単位で残す

現場は写真を撮っています。ただ、工程の記録としての写真であって、評価の材料としては整理されていないことが多いようです。「施工条件等への対応」に当たる場面を、別に分けておくだけで違います。

4. 通知された点数を、次に回す

点数を受け取って終わりにしないことです。どの項目で取れて、どこが取れなかったかを見ます。取れなかった項目は、次の工事で取りにいく候補になります。

誰が、いつ点をつけるのか

評定は、発注者側の担当者が行います。地方整備局工事成績評定実施要領の第4は、評定者を技術検査官・総括技術評価官・主任技術評価官と定めています。採点表で重みがちがうのは、この3者のことです。

大事なのは、点は完成したときに一度でつくのではないということです。施工の途中に見られている部分があります。

  • 施工体制は、体制が整っているかどうかなので、着工時点から見られます
  • 施工状況は、工事中のふるまいです。工程の管理、安全の管理、書類の出しかた
  • 出来形は、検査で確かめられます

完成してから点を取りにいくことはできません。ここが、あとから資料を整えれば間に合う手続きとの、いちばんのちがいです。

1点の重みは、工事の規模では変わらない

見落とされがちな点をひとつ。評定の対象になる工事であれば、評定点は同じものさしでつきます。1億円の工事でも、3,000万円の工事でも、65点から始まって同じ配点で動きます。

ここから言えることがあります。小さい工事でも、積み上がる点は同じものさしです。「大きい工事で実績をつくる」だけが道ではありません。取れる工事で確実に点を積む、という進め方もあります。ただし次の入札で、どの工種・規模・期間の成績が使われるかは入札説明書で決まります。狙う入札の条件を先に確かめておきます。

よくある3つの失敗

1. 終わってから、材料を探す

完成検査が近づいてから「創意工夫に書けることはなかったか」と探しはじめる。これがいちばん多い形です。現場は覚えていても、記録が残っていません。

着工時に決めておけば、現場はその場で残します。あとから探す作業そのものが、要らなくなります。

2. 減点だけを気にする

事故や手戻りを避けることに気を配る会社は多く、それ自体は正しい姿勢です。1〜3(施工体制・施工状況・出来形及び出来ばえ)では、減点を防ぐことが点に直結します。ただし4〜6は、守っているだけでは上乗せが入りません。ここは取りにいくものです。

3. 点数を、現場に返さない

通知書が事務所に届いて、そのままファイルに入る。現場監督が自分の工事の点数を知らない、という会社があります。

点数は、現場に返してはじめて次に効きます。どの項目で取れて、どこが取れなかったか。これを共有するだけで、次の工事の動きが変わります。

自治体の工事は、様式がちがう

くりかえしになりますが、ここは実務で効くので、もう一度書きます。

この記事で扱った配点は、国土交通省の直轄工事の様式です。都道府県や市区町村は、それぞれ独自の要領と様式を持っています。

確かめかたは単純です。その発注者のサイトで「工事成績評定要領」を探すか、担当窓口に聞きます。多くの自治体が公表しています。

受注先の発注者が複数あるなら、発注者ごとに配点の表を1枚ずつ用意しておくのが実務的です。現場に渡すのは、その1枚です。

統合最適化でみると、どう効くのか

株式会社アプリバンクは、人材育成・DX推進・収益改善を切りはなさずに見ます(統合最適化メソッド)。工事成績も同じです。

人材育成 — 現場監督が、評価の言葉を持つ

「きちんとやる」から「工事特性で加点を取りにいく」へ、現場の言葉が変わります。何を評価されるかがわかると、若い監督でも動けます。

DX推進 — 写真と記録が、勝手にたまる

評価の材料は、日々の写真と記録です。撮った時点で分類されるしくみにしておけば、工事の終わりに集める作業がなくなります。

収益改善 — 点数が、受注できる工事の範囲を広げる

成績が上がれば、総合評価で上に行けます。同じ営業活動でも、取れる確率が変わります。値引きで取るのとは、利益のつき方がちがいます。

この3つは、別々の話ではありません。記録が自動でたまる(DX)から、監督が評価の材料を語れるようになります(人材育成)。その結果、成績が上がって受注の幅が広がります(収益改善)。ひとつの作業が3つに効くところを選ぶ、というのが統合最適化の考え方です。

まとめ

  • 工事成績評定は65点から始まり、1〜3の加減点と4〜6の加点で決まります(国土交通省 工事成績採点表)
  • 点数の81.8%は1〜3(施工体制・施工状況・出来形及び出来ばえ)で決まります。とくに出来形及び出来ばえだけで40.8%です
  • 残る4〜6の18.2%は加点のみ(採点表※4)。取りにいかなければ上乗せの8.8点が入りません。守りが先、そのうえで攻めます
  • 上がり幅で見ると、1〜3が26.2点、4〜6は合わせて8.8点です。素点には重みがかかります
  • 素点には重みがかかります。工事特性の+20.0は ×0.2 で、細目別評定点は7.3点です
  • 7. 法令遵守等は、積み上げた点から引かれます。攻めの前に守りです
  • 点数は総合評価落札方式や格付けに効き、次に出られる工事の範囲を決めます
  • 配点は発注者ごとにちがいます。自治体の工事なら、その発注者の要領を見てください

次の入札に向けて、いまの現場から点を積みたい。そうお考えでしたら、無料経営相談へどうぞ。建設業に特化して、人材育成・DX推進・収益改善をまとめて見ます。

本記事は制度の一般的な内容をお伝えするものです。個別の工事の評価や入札の判断については、発注者の担当窓口にご確認ください。

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出典

本文の配点と計算式は、平成30年4月6日改正の採点表(別記様式第1・第2)によります。考査項目別運用表(何を加点するかの細かい基準)は、その後も改正されています。実際の工事では、発注者が示す最新の運用表を確かめてください。出典はいずれも2026年9月30日時点で公式サイトを確認しています。

監修

佐藤 望

監修:佐藤 望(株式会社アプリバンク 代表取締役)。建設業界30年。大手ゼネコンで国内の大規模プロジェクトを担当し、海外では子会社の立ち上げと経営再建に従事。

保有資格は認定ファシリティマネジャー/日商簿記1級/建設業経理士1級/第一種衛生管理者。日本内部監査協会 会員、東京商工会議所 会員。

経済産業省「DX認定事業者」(DX-2026-06-0021-01)。建設業に特化し、人材育成・DX推進・収益改善を統合した支援(統合最適化)を提供。お問い合わせは無料経営相談または TEL 03-6826-0180 へ。


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