MENU
Newspicks認定エキスパートに就任いたしました。                              「DX認定事業者」に認定されました。

建設業の求人|応募が来ない会社と、来る会社の差はどこにあるか

建設業の求人のアイキャッチ。29歳以下は11.7%で母集団が薄い

求人媒体に出しました。ハローワークにも出しました。それでも応募が来ません。来ても、返事をする前に他社で決まっています。

このとき「若い人が建設業を選ばなくなった」と結論づけたくなります。その前に、確かめられることが3つあります。求人票に何が書いてあるか、応募が来てから何時間で返事をしているか、入った人が3か月後に残っているか。

この記事は、募集の予算をふやす前にできることを、順番に並べたものです。

人手不足そのものへの向き合い方は、建設業の人手不足|採用の前に、辞めない会社にするに整理しています。

目次

まず、母集団の形を知る

2024年の建設業は55歳以上36.7%・29歳以下11.7%、全産業は32.4%・16.9%であることを比較した図
若い人が来ないのではなく、そもそも母集団が薄い業界です。

令和7年版 国土交通白書にあたりました。もとの数字は総務省「労働力調査(基本集計)」の2024年です。

建設業ではたらく人のうち、55歳以上が36.7%、29歳以下は11.7%でした。全産業はそれぞれ32.4%と16.9%です。

若年層が全産業より5.2ポイント薄く、高齢層が4.3ポイント厚い。

ここで1つ、読み違えないでいただきたい点があります。この数字は「いま働いている人の年齢の内訳」であって、「求職者が何人いるか」ではありません。採用市場の大きさを直接示す数字ではない、ということです。

それでも、若い層の割合が薄い業界であることは読み取れます。同じ求人票を出しても、差はつきません。

職種ごとの有効求人倍率は、厚生労働省「一般職業紹介状況」で毎月公表されています。

建設に関わる職業は、全職業の平均を大きく上回る状態がつづいています。売り手市場ということばでは足りません。応募者が会社を選ぶ市場です。

求人票を直す前に、どこでつまずいているかを見る

「応募が来ない」と一口に言っても、つまずいている場所は3つあります。ここを見ないで求人票だけ直すと、直しても増えません。

つまずいている場所 見分けかた 先にやること
① そもそも見られていない 掲載しているのに表示回数が伸びない 媒体を替える。掲載する職種名を、求職者が実際に打ち込むことばにする
② 見られているが、応募されない 表示は出るが応募がゼロに近い 求人票の中身を直す。この記事の本題はここです
③ 応募はあるが、途中で消える 応募後の連絡が続かない・面談前に辞退される 返信の速さと面談までの段取りを直す

媒体の管理画面をひらいて、表示された回数と応募の数の両方を見てください。どちらが欠けているかで、直す場所が変わります。

①でつまずいている会社は、意外と多いです。職種名を「現場作業員」とだけ書いていて、求職者が打ち込む「内装工」「土工」「施工管理」に引っかかりません。これは求人票の中身の問題ではなく、見つけてもらえていない問題です。

もう1つ、業界全体にかかっている前提があります。建設業には「きつい・汚い・危険」という古い印象が残っていて、それを持ったまま求人票を読まれます。

だから、書いていない項目は悪いほうに読まれます。ここが他業種とのちがいです。次の章は、そこを前提にした話です。

放置すると、採用の問題では終わりません。人が足りないまま受注すると工期がのび、いまいる社員に残業がよります。その社員が辞めて、また採用にもどります。採用単価は上がりつづけます。

まず、きょうできることを1つだけ。いま出している求人の管理画面をひらいて、表示された回数と、応募のあった数を、紙に書きうつしてください。

それだけで、①なのか②なのか③なのかが、およそ見えます。そこがわかってから直したほうが、ずっと早く終わります。

応募が来ない求人票の、3つの共通点

範囲が書いていない・休みと残業が数字で書いていない・先が見えないという応募が来ない求人票の3つの特徴
読み手は「書いていない=条件が悪い」と読みます。

① 仕事の範囲が書いていない

「現場作業全般」「経験者優遇」。この2つだけで、応募者は何をするのか、どこまで任されるのかがわかりません。

② 休みと残業が、数字で書いていない

「完全週休2日(シフト制)」「残業あり」。いちばん知りたいところがぼかされている、と読まれます。応募者はここを最初に見ます。

建設業にも、時間外労働の上限規制が2024年4月1日から適用されています。根拠は労働基準法 第36条第4項です。

そこに、時間外労働の限度がこう書かれています。

前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。(労働基準法 第36条第4項)

出典はe-Gov法令検索です。

括弧の中を飛ばさないでください。1年単位の変形労働時間制を使っていて、その対象期間が3か月を超える場合は、月45時間・年360時間ではなく月42時間・年320時間が上限になります。建設業では1年単位の変形労働時間制を採っている会社が多く、その場合はこちらの数字が効きます。

そして、この45時間(42時間)は「ふつうのとき」の上限です。臨時的に特別な事情があるときは、労使で特別条項を結べば超えられます。ただし、年720時間以内、1か月100時間未満、45時間(42時間)を超えてよいのは年6か月まで、という別の枠がかかります(同法第36条第5項)。求人票に残業の数字を書くときは、自社がどちらの枠で動いているかを先に確かめてください。

建設業は同法の附則第139条第2項で令和6年3月31日まで適用が猶予されていました。その翌日からは、ほかの業種と同じ規制がかかっています。

(災害時の復旧・復興の事業には、いまも一部の上限が適用されない例外が残っています。附則第139条第1項です。自社の工事がこれに当たるかどうかは、そのつど確かめてください。)

③ 先が見えない

「昇給あり」「やる気次第」。3年後の自分が想像できない求人には、応募しません。

3つに共通するのは、書いていないことです。そして読み手は、書いていない項目を「条件が悪いから伏せている」と読みます。空欄は、悪い情報として伝わります。

ぼかしたことばを、数字と固有名詞に置き換える

嘘を書けという話ではありません。事実を数字にするだけです。

次の表は、架空の一社を想定して作った例です。実在する会社の求人票ではありません。数字は、ご自身の会社のじっさいの値に置き換えてお使いください。

現場作業全般や完全週休2日などのぼかした表現を、具体的な数字と固有名詞に書き換えた対比表
同じ条件でも、伝わり方がまったく変わります。
よくある書き方 数字と固有名詞に置き換える
現場作業全般 戸建て改修が7割、店舗内装が3割。1現場あたり平均3週間
完全週休2日(シフト制) 年間休日120日。日曜・祝日と土曜が休み。第2・第4土曜に出た週は、同じ週の平日に振替休日を取ります(休日の総数は減りません)
残業あり 月平均18時間。繁忙期(2月・8月)は30時間程度
経験者優遇 実務3年以上は基本給に月2万円加算。未経験も可で、1年目は先輩と2人1組。工具は会社支給
昇給あり CCUSレベル2で月給+1万円、レベル3で+2.5万円(社内等級と連動)
アットホームな職場 平均年齢38歳。20代4名・30代6名・40代以上5名

ここで守っていただきたい線が1つあります。やるのは書き方を変えることであって、条件そのものを変えることではありません。

「完全週休2日」を「土曜は出る月がある」に書き換えると、それは具体化ではなく条件の変更です。実態が振替休日で毎週2日を確保しているなら、そう書きます。確保できていないなら、先に直すのは求人票ではなく休日制度のほうです。

右側のほうが、条件として厳しく見える項目もあります。それでいいのです。

入る前に条件が分かっていれば、「聞いていた話と違う」で辞める人は減らせます。(辞める理由は条件だけではありません。人間関係や体調など、求人票では防げないものもあります。ここで減るのは、ミスマッチによる離職です。)

そして重要なのはここです。数字にできない項目は、そもそも社内で決まっていません。「昇給あり」としか書けないのは、昇給の基準が決まっていないからです。求人票づくりは、制度づくりでもあります。休みの取り方そのものは建設業の週休2日に整理しています。

「先が見えない」への答え — CCUSを等級として見せる

3年後の自分を想像してもらうのに、自社だけの等級表では弱いです。業界共通のものさしに乗せます。

建設キャリアアップシステムのレベル1から4までの区分と、白・青・銀・金のカード色を示した図
業界共通のものさしなので、説明がいらなくなります。

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格や就業履歴を業界で共通に記録するしくみです。

能力評価は4つの段階に分かれています。カードの色(白・青・銀・金)で示されるので、目で見ても伝わります。

この4レベルを、社内の等級表と昇給に紐づけて求人票に書きます。これだけで「先が見えない」が消えます。しかも業界共通の基準なので、他社に移っても消えないという点が、応募者にとって信用できる材料になります。

等級表そのものの作り方は建設業の人事評価制度|CCUSの4レベルを等級表の背骨にするに書きました。外国人材の受け入れを考えている場合は、育成就労でもCCUSが要件に関わってきます。

等級で「先」を見せたあとに残るのは、いまいる人をどう見ているかです。人を4つに分けて考える整理は建設業の人材力強化|じんざいフレームワークで考えるにあります。

応募は、待っている間に消える

ここが、費用ゼロでいちばん効く場所です。

応募から24時間以内の一次返信、3日以内の面談日提示、面談、即日から翌日の結果通知、入社までの流れ
求人媒体にいくら払っても、返信が3日後なら意味がありません。

応募者は、ほぼ確実に他社にも同時に応募しています。先に返事をした会社から面談が進みます。

以下の目安は、当社が実務で使っている運用の基準です。「24時間以内なら何%上がる」という検証済みの数字ではありません。自社の応募記録で、返信までの日数と面談に進んだ割合を並べてみると、実際の効き方がわかります。

段階 目安
一次返信 24時間以内(ここが最大の分岐点)
面談日の提示 3日以内
結果の連絡 面談の即日〜翌日

求人媒体にいくら払っても、返信が3日後なら、その費用は他社の採用に使われたのと同じです。

「現場が忙しくて返信できない」という会社が多いです。それなら、返信する人を現場以外に置きます。定型の一次返信文を用意して、事務が出します。この分担ができない規模であれば、事務を外に出す選択肢もあります。

採って終わりにしない — 入社後90日

採用の失敗は、たいてい入社後に起きます。3か月で辞められると、募集費用も教えた時間も全部消えます。

1から7日目・8から30日目・31から90日目にやることを整理した入社後90日の受け入れ設計
採用の失敗は、たいてい入社後に起きます。
時期 やること ねらい
1〜7日目 誰と組むかを決めておく 初日に道具と装備を渡す。組む先輩の名前を入社前に伝える
8〜30日目 できるようになったことを毎週1つ書き出す 本人と先輩の両方が書く。ずれていたら、そこが指導の的
31〜90日目 CCUSの登録とレベル判定の見通しを渡す 「何を満たせば次のレベルか」が見えると、辞めにくくなる

教える側の準備も要ります。職長教育を受けた人が現場にいるかどうかで、新人の1か月目はまったく違うものになります。

そして安全です。令和7年の労働災害で建設業の死亡者は214人と業種別で最多のままでした。入って間もない人ほど危険源を知りません。

ここは「やったほうがよいこと」ではなく、法律で決まっていることです。労働安全衛生法 第59条第1項と労働安全衛生規則 第35条で、雇入れ時の安全衛生教育が事業者の義務と定められています。

機械や原材料の危険性、安全装置の取扱い、作業手順、事故時の退避など、教育する事項も定められています。

危険場所への同行確認は、この法定教育の代わりにはなりません。法定教育を実施したうえで、そのうえで同行確認を受け入れ設計に入れてください。

入社後90日の受け入れ設計を、自社の現場に合わせて作ります(毎月5社まで)

求人票づくりは、制度づくり

統合最適化メソッド(人材育成 × DX推進 × 収益改善)で整理します。

人材育成で等級と昇給の基準を決め、DX推進で応募から入社までを記録し、収益改善で定着により採用単価を下げる3軸
求人票に書けないことは、社内で決まっていないことです。

人材育成 — 等級と昇給の基準が、先に決まる

求人票に「レベル2で+1万円」と書くには、社内で決めておく必要があります。書くために決める。これがいちばん早いです。先に制度を完成させようとすると、いつまでも書けません。

DX推進 — 応募から入社までを記録する

どの媒体から来て、何日で返信し、どこで辞退されたか。これを残すだけで、次の募集の判断材料になります。媒体を替えるべきなのか、返信を速くすべきなのかが、感覚ではなく数字でわかります。

収益改善 — 採用単価は、定着で決まる

一般に採用単価は、募集にかけた費用を採用した人数で割って出します。この定義そのものは正しいものです。

ただ、それだけを見ているとすぐ辞めた人も1人と数えることになります。そこで当社は、もう1つの数字を並べて見ることをお勧めしています。募集費用を「3か月後に残っている人数」で割った額です。

2つを並べると、募集にお金をかけるべきか、入社後の受け入れを直すべきかが分かれます。多くの会社では、後者のほうが安く効きます。

まとめ

  • 建設業の29歳以下は11.7%(全産業16.9%)、55歳以上は36.7%(同32.4%)。母集団そのものが薄い
  • 応募が来ない求人票は、範囲・休みと残業・将来の3つが書かれていない。空欄は悪い情報として読まれる
  • ぼかしたことばを数字と固有名詞に置き換えます。ただし直すのは書き方であって、条件そのものではありません。入る前に条件がわかっていれば、ミスマッチによる離職は減らせます
  • 数字にできない項目は、社内で決まっていない項目。求人票づくりは制度づくり
  • 「先が見えない」にはCCUSの4レベルで答える。業界共通なので他社でも通用する
  • 一次返信は24時間以内。返信が3日後なら、媒体費用は他社の採用に使われたのと同じ
  • 入社後90日を先に設計する。採用単価は、3か月後に残っている人数で割って計算する

求人票に書けないことは、社内で決まっていないことです。決めた分だけ、応募が来ます。

いちどに全部をそろえようとしなくて大丈夫です。きょうは、いま出している求人の表示された回数と応募の数を見るところから、はじめてみてください。

求人票の書き直し・CCUS等級との接続・入社後90日の設計を、まとめて1回で整理する無料経営相談はこちら(毎月5社まで)

出典

制度と統計の記述は、2026年9月8日に公式資料で確かめました。

監修

佐藤 望

監修:佐藤 望(株式会社アプリバンク 代表取締役)。建設業界30年。大手ゼネコンで国内の大規模プロジェクトを担当し、海外では子会社の立ち上げと経営再建に従事。

保有資格は認定ファシリティマネジャー/日商簿記1級/建設業経理士1級/第一種衛生管理者。日本内部監査協会 会員、東京商工会議所 会員。経済産業省「DX認定事業者」(DX-2026-06-0021-01)。

建設業に特化し、人材育成・DX推進・収益改善を統合した支援(統合最適化)を提供。お問い合わせは無料経営相談または TEL 03-6826-0180 へ。

あわせて建設業の人事評価制度|CCUSの4レベルを等級表の背骨にする・職長教育とは|12時間を投資に変える順番と新規入場者教育とのちがいもどうぞ。

本記事は法令・制度の一般的な内容をお伝えするものです。法令の適用についての個別の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。


建設業を支援する経営コンサル、株式会社アプリバンクをもっと見る

購読すると最新の投稿がメールで送信されます。

建設業の求人のアイキャッチ。29歳以下は11.7%で母集団が薄い

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次