「省力化投資補助金、今回は間に合わなかった」。7月末のこの時期、そう言って肩を落とす建設会社の経営者は少なくありません。
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)第7回の応募締切は、2026年7月31日(金)17:00。GビズIDプライムの取得が終わっていない、カタログに合う製品が見つからない、賃上げ要件の社内合意がまとまらない——どれか一つでも残っていれば、今回は届きません。
しかし、2026年度の受け皿はここで終わりではありません。8月25日、9月1日、9月30日と、締切は続けてやって来ます。本記事では、今回間に合わなかった建設会社が次に狙うべき3つの枠を、公式サイトで本日確認した日程と金額で整理します。制度の全体像から知りたい方は建設業の補助金2026|対象判定と今から間に合う申請の型を先にご覧ください。本記事はその続き、「締切に間に合わなかったとき」に絞った実務です。
まず現在地——省力化投資補助金 第7回で何が終わるのか
整理のため、いま締め切られるものを確認します。省力化投資補助金には2つの類型があり、性格がまったく違います。
| 類型 | 補助上限額(賃上げ要件を達成した場合) | 補助率 | 第7回の状況 |
|---|---|---|---|
| カタログ注文型 | 従業員5名以下 200万円(300万円)/6〜20名 500万円(750万円)/21名以上 1,000万円(1,500万円) | 1/2以下 | 2026年7月1日〜7月31日(金)17:00で締切 |
| 一般型 | 5人以下 750万円(1,000万円)/6〜20人 1,500万円(2,000万円)/21〜50人 3,000万円(4,000万円)/51〜100人 5,000万円(6,500万円)/101人以上 8,000万円(1億円) | 中小企業 1/2(2/3)、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者 2/3 | 2026年7月1日 10:00に応募申請の受付を開始 |
(出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト。カタログ注文型の補助上限額は2026年3月19日以降の制度改定後の数値です)
【2026年7月31日 追記】令和8年熊本地震で被災された事業者の方へ
省力化投資補助金の公式サイトに、被災された事業者向けの案内が掲載されています。「期限までの申請が難しい等の相談事項がありましたら、個別に中小企業省力化投資補助事業コールセンターまでご相談ください」とあり、あわせて一般型 第7回については、震災の被害を受けた熊本県内の事業者は受付申請を8月14日頃まで延長する旨が明記されています。
本記事は「間に合わなかったときの乗り換え先」を扱いますが、熊本県内で被災された場合は、乗り換えを検討する前にまず事務局へご相談ください(出典:中小企業省力化投資補助金 公式サイト・2026年7月31日確認)。
カタログ注文型は「カタログに載っている汎用製品を選ぶだけ」の簡易・即効型。一般型は現場や事業内容に合わせたオーダーメイドの設備導入・システム構築が対象で、上限は最大1億円まで伸びます。
間に合わない理由は、たいてい次の3つのどれかです。①GビズIDプライムが未取得 ②カタログに自社の欲しい製品がない ③賃上げ要件について社内の合意が取れていない。①は次の申請でも必ず必要になるため、今日から手続きを始めてください。

乗り換え先① デジタル化・AI導入補助金2026——4次締切は8月25日
旧「IT導入補助金」の後継制度です。ソフトウェアやクラウドサービスを入れたい会社にとっては、最も早く次の締切が来る受け皿になります。
公式の事業スケジュールによれば、通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠・複数者連携デジタル化・AI導入枠のいずれも、4次締切は2026年8月25日(火)17:00。交付決定日は2026年10月7日(水)の予定、事業実施期間は2027年3月31日(水)17:00までです。
補助率の一例として、インボイス枠(インボイス対応類型)のソフトウェアは、補助額50万円以下の部分が3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超〜350万円以下の部分が2/3以内。PC・タブレット等は1/2以内(補助額10万円以下)、レジ・券売機等は1/2以内(同20万円以下)です。
建設業での使いどころ
施工管理アプリ、原価管理・実行予算のシステム、勤怠管理、電子帳簿・請求のインボイス対応。いずれも「現場の手間を減らしながら数字が見えるようになる」領域で、投資額も数十万〜数百万円に収まります。まず何を入れるべきか迷う場合は施工管理アプリの選び方と実行予算の作り方が判断材料になります。
注意点は、締切当日は申請システムへのアクセスが集中し、画面遷移やSMS認証に通常より時間がかかることです。公式も「締切時間を過ぎた場合はいかなる理由でも受付しない」と明記しています。前日までに提出を終えるのが実務の鉄則です。
乗り換え先② 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金——第1回は9月30日と10月30日
2026年度に統合された新しい制度です。「中小企業新事業進出補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは別の補助金である点に注意してください。
公式の公募スケジュールでは、第1回公募は2026年6月29日(月)に開始。申請受付が8月31日(月)と9月30日(水)の2本立てで、申請締切は9月30日(水)18:00(厳守)と10月30日(金)18:00(厳守)。採択発表はそれぞれ2026年12月、2027年1月の予定です。
| 枠 | 対象 | 補助上限額(賃上げ特例適用時) | 補助率 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービス開発の取組 | 最大2,500万円(3,500万円)/補助下限100万円 | 中小企業者 1/2(2/3)、小規模・再生事業者 2/3 |
| 新事業進出枠 | 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 | 最大7,000万円(9,000万円)/補助下限750万円 | 中小企業者 1/2(2/3) |
| グローバル枠 | 海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化 | 公募要領を要確認 | 公募要領を要確認 |
金額は魅力的ですが、要件は重いと考えてください。補助事業終了後3〜5年の事業計画で、付加価値額の年平均成長率+4.0%以上、1人あたり給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金より+30円以上高い水準のすべてを満たす必要があります。
公式サイトは「目標未達の場合は補助金の一部または全額の返還義務が生じる場合がある」と明記しています。取れるかどうかではなく、5年間守れるかどうかで判断すべき制度です。
建設業での使いどころ
新工種への進出、自社加工場やプレキャストヤードの新設、維持管理・リニューアル分野への参入など、「今の事業の延長ではないもの」が対象です。人手不足を前提に事業構造そのものを変える打ち手として使えます(人手不足に対する経営改善5施策)。

乗り換え先③ 業務改善助成金——申請は9月1日から、最大600万円
経済産業省系ではなく厚生労働省の制度で、性格が異なります。設備投資そのものではなく「賃上げとセットの設備投資」を助成するものです。
令和8年度業務改善助成金のご案内によれば、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成されます(最大600万円)。令和7年度は「30円以上」でしたが、令和8年度から「50円以上」に引き上げられています。
申請期間は2026年9月1日から、申請事業所の都道府県で適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または同年11月30日のいずれか早い日まで。事業完了期限は交付決定年度の1月31日です。対象は中小企業・小規模事業者で、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であることが要件になります。
2026年度は地域別最低賃金の引き上げが続く見通しです。どのみち上げるのであれば、その引き上げを計画に載せて設備投資の助成を取りに行く——これが最も無駄のない使い方です。賃金の原資をどう作るかは労務費に対応する原価管理と価格転嫁の5ステップが土台になります。
ここまでの3枠を、自社の状況に当てはめて考えるとき、判断の順番を間違えると全部が空振りします。年間の工程・資金繰りと合わせて設計したい場合は、毎月5社までの無料の経営相談で一緒に組み立てます。
乗り換え先を決める3つの問い
制度を並べても選べません。次の3問に順番に答えてください。

問1:何を買うかは決まっているか
「ソフト・クラウドを入れたい」なら①デジタル化・AI導入補助金。「現場に合わせた設備・システム」なら省力化投資補助金の一般型を次回公募で。「今の事業とは違うことを始めたい」なら②新事業進出枠です。買うものが決まっていない状態で制度から選ぶと、補助金に事業を合わせる本末転倒になります。
問2:賃上げをどこまで約束できるか
付加価値額+4.0%/年、給与支給総額+3.5%/年、事業場内最低賃金は地域別+30円以上。ここまで飲めるなら②。賃上げ自体が主目的で投資額が小さいなら③業務改善助成金。約束できないなら①に絞るのが安全です。
問3:GビズIDプライムはあるか
無ければ今日申請してください。どの制度も電子申請の入口は同じで、取得には時間がかかります。「制度を選んでから取る」では間に合いません。この3問は、答えの順番そのものが実務です。
補助金で失敗しない3つの原則
最後に、制度を問わず共通する落とし穴を3つ挙げます。
第一に、交付決定より前の発注は補助対象外です。「先に買って、後から申請する」は通りません。見積書を取るところまでは進めてよいのですが、契約・発注は交付決定を待つ。ここを外すと、採択されても1円も入りません。
第二に、事業計画の未達には返還リスクがあります。特に新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は3〜5年の計画で複数の数値目標を課します。採択された後の5年間を、いまの受注環境と人員計画で本当に走れるか。資金繰りの見通しとセットで判断してください(資金繰り改善の5つの実務)。
第三に、補助金は「買う理由」ではありません。現場でよく見かけるのは、補助金が取れたから導入したものの、誰も使わないまま置かれている機械やソフトです。導入して終わりにせず、誰がいつ使うかまで決めきる。これが投資回収の分かれ目です。
建設業が申請でつまずく3か所
制度を選べても、申請書が書けなければ採択されません。建設業には、他業種と比べてつまずきやすい箇所が3つあります。締切までの時間を、ここに集中させてください。
つまずき①:省力化・生産性向上の効果を数字にできない
受注産業は案件ごとに条件が違うため、「年間◯時間削減」の根拠が弱くなりがちです。全社の平均で語ろうとすると、審査側から見て検証できない数字になります。
有効なのは母数を絞ることです。直近1年の同種工事に限定し、「1現場あたりの作業時間 × 年間の現場数」で積み上げる。写真整理や日報作成のように毎現場で必ず発生する作業を選べば、削減効果は説明しやすくなります。案件別の原価データが取れていれば、そのまま根拠資料になります(実行予算の作り方)。
つまずき②:賃上げの原資を示せない
いずれの制度も、程度の差はあれ賃上げを求めます。ところが補助金は設備投資の一部を賄うだけで、賃金の原資そのものは自社の利益から出ます。
したがって申請書には、投資で浮いた時間をどう利益に変えるかまで書く必要があります。残業代の減少、外注費の内製化、手戻りの削減。加えて、上昇した労務費を請負価格に反映する交渉の段取りまで触れられると、計画としての説得力が変わります(価格転嫁の5ステップ)。
つまずき③:事業実施期間と工期がぶつかる
交付決定から定められた期間内に事業を完了できなければ、補助対象になりません。建設業は天候・繁忙期・現場の都合で予定が動きやすく、ここが実務上いちばん危険です。
導入・設置・検収の時期を、年度末の繁忙や猛暑期を避けて置く。とくに夏場は現場側の受け入れ余力が落ちるため、この時期の導入は避けるのが賢明です(夏季休工と猛暑対策の実務)。工程表に「補助事業の完了日」を工事と同じ扱いで書き込んでおくのが、最も確実な防ぎ方です。
統合最適化の視点——補助金を3軸で使い切る
補助金は設備を安く買う手段ではなく、経営の3つの軸を同時に動かすきっかけとして使うべきものです。
人材育成の軸。導入する機械やソフトを、誰が使いこなせる状態にするか。操作を覚える過程は若手の成長機会になり、賃上げ要件の裏づけにもなります。
DX推進の軸。単体のツールで終わらせず、原価・工程・勤怠のデータがつながる形で入れる。つながって初めて「どの現場で儲かったか」が見えます(i-Construction 2.0と省人化、建設業のAIエージェント活用)。
収益改善の軸。投資で生まれた余力を、時間外労働の削減と価格交渉の根拠に変える。上限規制への対応は2024年問題、生産性の数値化は一人当たり付加価値の高め方が参考になります。
よくある質問
Q1. 省力化投資補助金の次回公募はいつですか。
カタログ注文型・一般型とも、次回の公募時期は公式サイトで随時公開されるとされており、本記事の執筆時点(2026年7月29日)で次回日程は公表されていません。待つ間にGビズIDプライムの取得と、カタログ掲載製品の確認を済ませておくのが実務的です。
Q2. 複数の補助金を同時に申請できますか。
制度ごとに併願・重複受給の可否や条件が異なり、同一の経費を複数の補助金で重複して受けることは認められません。申請前に各制度の公募要領で確認してください。判断に迷う場合は、対象経費を明確に切り分けたうえで事務局に確認するのが安全です。
Q3. 建設業でも補助金の対象になりますか。
なります。いずれも中小企業・小規模事業者を対象とした制度で、業種で建設業を除外するものではありません。ただし対象経費の考え方は制度ごとに異なるため、「何に使うか」を先に決めてから制度を選んでください。
まとめ——7月31日で終わりではない
- 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)第7回の締切は2026年7月31日(金)17:00。一般型は7月1日10:00に第7回の受付を開始
- 次の受け皿は3つ。①デジタル化・AI導入補助金2026(4次締切 8月25日17:00)②新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回(締切 9月30日18:00/10月30日18:00)③業務改善助成金(申請 9月1日〜・最大600万円)
- ②は付加価値+4.0%/年・給与総額+3.5%/年・事業場内最低賃金+30円以上を3〜5年守る必要があり、未達なら返還義務が生じる場合がある
- 決める順番は「何を買うか→賃上げをどこまで約束できるか→GビズIDプライムはあるか」。3問目を先に片づけないと、どの答えでも締切に届かない
補助金は、経営計画があって初めて意味を持つ道具です。自社の年間工程・資金繰り・賃上げ計画に、どの制度をどう組み込むか。迷われている場合は毎月5社までの無料の経営相談でご相談ください。決算書と受注状況をもとに、申請すべきか見送るべきかまで含めて一緒に判断します。
出典
- 中小企業省力化投資補助金 公式サイト(2026年7月29日確認)——カタログ注文型 第7回 応募申請 2026年7月1日〜7月31日17:00、一般型 第7回 受付開始 7月1日10:00
- 同 カタログ注文型 / 同 一般型——補助上限額・補助率(カタログ注文型は2026年3月19日以降の制度改定後の数値)
- デジタル化・AI導入補助金2026 事業スケジュール(2026年7月29日確認)——4次締切 2026年8月25日(火)17:00、交付決定日 10月7日(水)予定、事業実績報告期限 2027年3月31日17:00
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募スケジュール / 同 補助金概要(2026年7月29日確認)——第1回 公募開始 6月29日、申請締切 9月30日18:00/10月30日18:00、補助上限額・補助率・事業計画の3要件
- 厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」 / 業務改善助成金 制度ページ——事業場内最低賃金50円以上の引上げ+設備投資で最大600万円、申請期間2026年9月1日〜
【執筆・監修】株式会社アプリバンク 代表取締役 佐藤 望
建設業専門の経営コンサルタント/建設業界30年(現場〜本社財務、海外5カ国の施工経験)。独自メソッド「統合最適化(人材育成 × DX推進 × 収益改善)」で、建設業の経営改善を一気通貫で支援。経済産業省「DX認定事業者」(2026年6月認定)。
お問い合わせ・無料相談:株式会社アプリバンク 公式サイト / 最終更新: 2026年7月31日
本記事は法令・制度の一般的な内容をお伝えするものです。法令の適用についての個別の判断は、弁護士等の専門家にご確認ください。
建設業を支援する経営コンサル、株式会社アプリバンクをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。


